「パワプロが嫌いになった」から、最強の男へ eBASEBALLオリックス指宿の戦い

引用元:ENCOUNT
「パワプロが嫌いになった」から、最強の男へ eBASEBALLオリックス指宿の戦い

 eスポーツのプロ野球リーグ「eBASEBALL プロリーグ」2019シーズンが1月25日、東京・「esports銀座 studio」で行われたe日本シリーズを持って全日程を終了した。11月から始まった2年目のシーズンは圧倒的な打撃力を誇る巨人がセ・リーグ2位から下克上日本一を飾り、幕を閉じた。大会MVPにはポストシーズン9本塁打と圧倒的な打力で他を圧倒した巨人・舘野弘樹が選ばれたが、もう一人、MVPに相当する男がいた。今季から導入された、各節の試合内容を評価・順位化し、ランキング形式でプロプレイヤーの絶対的な強さを示す指標である「プロリーグランキング」で1位に輝いたパ・リーグのオリックス・指宿聖也だ。

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 指宿は参加した全48選手のうち唯一の6戦6勝を飾り、オリックスのeクライマックスシリーズ進出の立役者となった。6試合で挙げた得点が26なのに対し、失点はわずか4。攻守にわたり、無類の強さを他選手に見せつけた。他チームの選手も「圧倒的」と舌を巻いたが、その飛躍には技術以外の部分にも鍵があった。

 昨季は5試合で2勝3敗と負け越した指宿。その反省を踏まえ、調子がよかったときの自身の取り組みについて細かく分析することにした。「(いい状態のときは)どういう身体の体勢だったか、(プレーの)待ち方だったか、どういう頭の中でやっていたかというのを固定させたくて、いろいろ試しました」と言う指宿。「コントローラーを持っている姿勢が悪いのかな?とか考えたりして、姿勢の矯正器具もいろいろと買ったりしました(笑)。でも(2018シーズンの)プロリーグが終わってからガタガタになってきて、オンラインでも負けまくった」。

 あまりの不調に「パワプロが嫌いになった」と苦笑いで振り返った指宿だが、2018シーズンからの継続選手として2019シーズンもオリックス代表選手としてプレーすることが決まっていたため、シーズン開始まで必死に調整を続けた。「もう、ほんと辞めたいなって。『どう休もうかな?』って考えて」と一時は継続選手契約を辞退することまで頭に浮かんだ。それでも「決まっている以上、やらないといけない」と腹をくくった。「逃げられなかったから、モチベーションになったのかもしれない」。一抹の不安を抱えたまま、指宿のプロ2年目のシーズンは始まった。