沢尻エリカ被告、飲食業で更正か 女優「復帰は考えていません」…初公判

引用元:スポーツ報知
沢尻エリカ被告、飲食業で更正か 女優「復帰は考えていません」…初公判

 自宅マンションで合成麻薬MDMA、LSDを所持したとして、麻薬取締法違反の罪に問われた女優・沢尻エリカ被告(33)の初公判が31日、東京地裁(瀧岡俊文裁判官)で開かれた。沢尻被告は女優業について「復帰を語れる資格はない」と決別する考えを示した。19歳頃から薬物に手を染め、大麻については軽度の依存症が認められたことも明らかに。「気がつけば薬物を制するより、制されていた」と深い後悔の念をにじませた。検察側は懲役1年6月を求刑し即日結審した。判決は2月6日に言い渡される。

 「職業は無職です」―。そう語った沢尻被告は、真っすぐ前を見据えて「女優への復帰は考えていません」と言い切った。口紅をつけ、逮捕前と変わらない細身の体を包んだ黒のタイトなパンツスーツに、ポニーテールの黒髪。「影響力のある立場の人間として、あまりに身勝手な行為により、多くの方を裏切り、傷つけてしまい、その代償はあまりに大きく、復帰を語れる資格はないと思います」と表舞台との決別とも取れる言葉を述べた。

 19歳の頃から15年近く続けた薬物使用という自覚を欠いた行動は、もう制御が利かなくなっていた。容疑をすべて認めた上で「心配し、叱ってくれた人たちの声に耳を傾けず、現実逃避した世界で薬物がつなげてくれた偽りの友情にとらわれ、そこを抜け出すことができませんでした。すべて幻でした。結果すべてが害でした。心の底から後悔しています」と謝罪した。

 自身の降板による撮り直しで放送開始が2週間も延期となったNHK大河ドラマ「麒麟がくる」ほか、逮捕前日に放送が始まったCMなど、周囲に甚大な影響を及ぼした。損害賠償は10億円とも言われる。執行猶予付きの有罪判決となることが濃厚だが、執行猶予が明けた後も女優復帰は難しい。今後について「現段階では決められていませんが、家族と一緒に何か考えていければ」と述べた。

 選択肢の1つとしてあるのが飲食業だ。情状証人として出廷した兄はレストラン経営を手がけており、退院後は沢尻被告と同居してサポートすると話した。同じく証人出廷した主治医は「お母さんとレストランをするのも1つ。学校に行って興味があるものを学んだり、うまく社会と接していこうという話をしている」と更生プランを示した。

 薬物犯罪は再犯率が高いことから、沢尻被告は薬物の知識を深めることなどで更生を図っている。「すべては自分の甘さが招いた結果。後悔してもしきれない気持ちでいっぱい。謝って許されることだと思っていません。しかし、全力で更生していくことが、しっかり反省していくことが自分にできる唯一の償いと思っています。二度と繰り返さないように立ち直っていきたいと思っています」。女優としては相次ぐスキャンダルを乗り越え返り咲きを果たしたが、それ以上に険しい道が待ち受けている。

 ◆担当医出廷「ビックリするほどまじめに治療」

 沢尻被告は、保釈後から都内の大学病院に入院し、薬物依存の治療を行っている。この日は、担当の臨床精神科医の男性が情状証人として出廷し、退院後の治療計画を説明した。

 沢尻被告について同医師は「スタッフがビックリするほど、まじめにやっています。テストをしたら思った以上によく理解している」と明かした。症状の改善が見られれば、月1回程度の通院治療に切り替える可能性もあり「そこで簡単な薬物のキットで検査することも考えている」。通院期間については「薬物をやめ続けてほしいが、一生、通院し続けるということでもない。数年たてば間隔を空ければいい。薬物を使いたくなった時、相談できる場所としてつながっていたい」と話した。

 ◆所属事務所はサポート継続

 沢尻被告が女優を続けるかどうかにかかわらず、所属事務所「エイベックス・マネジメント」は今後もサポートを続ける意向を示している。法廷では同社役員の手紙が読み上げられた。ファンや取引先への謝罪とともに「違法薬物の使用は許されない。保釈後に沢尻被告に会ったら、信用していただいたのに、こんな形で裏切ってしまい、涙ながらに申し訳ないと話した。個人的には、いつかまた彼女の作品を見たいが、女優業は世間の理解があってこそ。彼女も女優業への復帰を前提としていません」とした。 報知新聞社