沢尻エリカ被告、謝罪スラスラ 感じなかった言葉の「温度」

引用元:スポーツ報知
沢尻エリカ被告、謝罪スラスラ 感じなかった言葉の「温度」

 沢尻エリカ被告(33)は31日、初公判で女優業との決別を宣言した。昨年11月16日の逮捕から76日で初めて姿を見せた東京地裁425法廷。12月6日に保釈された後に直筆署名入りの文書でコメントしたものの、その後は都内の大学病院で入院生活を送り、周囲の徹底ガードによってベールに包まれていた。

 保釈後2か月ほどの入院療養生活もあってか、沢尻被告は健康的に見えた。法廷では、女優への決別の思いを口にした。だが、約1時間20分、終始言葉に「温度」が感じられなかった。

 弁護側の被告人質問。19歳頃から断ち切れなかったという薬物について沢尻被告は「逮捕されて多くを失って初めて気付いたこと、それは自分の中では薬物をコントロールできる、いつでもやめられると思っていましたが、大きな間違いでした。気がつけば薬物を制するよりも薬物に制される状態でした」と語った。もちろん本心からの言葉だろうが、準備してきた“文言”はいかにも作り込んだセリフのようで、芝居がかって聞こえた。

 バトンが検察側に渡ると、様子は一転した。「なぜ、やめられなかったのか」「いろんな報道を見て、どういう結果になるか想像つきますよね」「ついたのになぜ?」「原因は考えた?」―。相次ぐ詰問に、沢尻被告は答えに窮した。10秒ほど無言になり、次の質問に移ると、今度は30秒ほど無言になったまま、答えられないときもあった。独特の緊張感に包まれた法廷では無理もないが、弁護側の質問で述べた言葉は、すっかりかすんでしまった。

 反省と後悔、また謝罪の言葉を重ねて述べたが、裁判官や検察に対してではなく、被告人席から背中越しの報道陣を通じて世間に語りかけているようでもあった。一昨年にインタビューした際、まっすぐ相手の目を見つめ、時折笑顔を浮かべながら受け答えする姿は真摯(しんし)で、それまで勝手に抱いていた強いイメージと違い、その柔らかい空気に引き込まれた。裁かれる身として、「こう答えないといけない」という気負いもあったのだろう。時間を追うごとに、その背中から繊細で気弱な心が見えてきた。

 ◆「無罪請負人」“異例”の執行猶予短縮を要求

 日産自動車前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)=入管難民法違反容疑=らを担当し、「無罪請負人」の一人として知られる河津博史弁護士が、沢尻被告の主任弁護人を務めた。河津弁護士は「執行猶予が相当な事案だが、再犯を予防する一方で、社会復帰を困難にすることもある」として“異例”ともいえる執行猶予期間の短縮を求めた。その理由について「薬物は全て、自己申告で入手経路が判明した。入手先も明確にしている」と説明した。 報知新聞社