映画「カツベン!」の活弁指導者、坂本頼光が古舘プロジェクト入り

映画「カツベン!」の活弁指導者、坂本頼光が古舘プロジェクト入り

 無声映画を解説する話芸で魅せる活動弁士、坂本頼光(らいこう、40)が、2月からフリーアナウンサー、古舘伊知郎(65)らを擁する芸能事務所、古舘プロジェクトに所属することが31日、分かった。

 活動弁士は無声映画で登場人物を演じ、背景を語って作品に命を吹き込み、映画「カツベン!」(周防正行監督)で描かれて注目されている。坂本は、同作に主演した俳優、成田凌(26)らの弁士指導をした。

 現在は「12、13人くらい」という現役弁士で最年少クラスの坂本は、芸歴20年。持ちネタは100本以上あり、某国民的人気アニメをパロディーにした自作の“アニメ”「サザザさん」もカルト的人気を集めている。

 古舘プロ入りは、子供のころから尊敬する所属俳優、松尾貴史(59)の誘いで決意。「軌道に乗ったのは30歳くらいで、ずっとインディーズミュージシャンのようにフリーでやってきましたが、一人で自己解決するより、誰かと組んでみるのもいいと思いました。20年の節目で良いタイミングだったのかもしれません。松尾さんは公演に来てくださったり、ずっと気にかけてくださっていたので」。あこがれの人からのラブコールを断る理由はなかった。

 小学生のころから漫画家にあこがれ、水木しげるさんの妖怪漫画に傾倒。中学生で学校行事で観賞した無声映画「チャップリン」に魅せられ、活動弁士に興味を持った。高校を中退して現役弁士に弟子入り志願するも、現代では子弟制度が成立しないほど“市場”が狭く、東京キネマ倶楽部のオーディションに合格してデビューした。

 寄席に出演するほか、アニメ声優、俳優として活動弁士役で昨年のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」などにも出演した。

 「活動弁士は圧倒的に後継者がいない。なり手が増えてほしいのが正直なところ」。将来的に芸が途絶えてしまう可能性に危機感を持ち、「動画サイト全盛の時代ですが、同じ箱の中で見るからこそ生まれるものがあるし、やはりライブを見ていただきたい。ライブという本質にはこだわっていきたいですね」と強調。しゃべりの達人・古舘、コメンテーターとしても活躍する松尾ら個性豊かな“現代のトーカー”たちに仲間入りし、ますます芸を磨いていく。

 2月1日には、東京・紀伊国屋ホールで行われる「寄席たいゆう亭 映画ヲ語ルの巻」に出演。「カツベン」の周防監督らとトークショーも行う。