潘恵子、μ‘s、上坂すみれ…“アイドル声優”の変遷 人気声優に求められるものが多様化

引用元:オリコン
潘恵子、μ‘s、上坂すみれ…“アイドル声優”の変遷 人気声優に求められるものが多様化

 12/30付オリコン週間BOOKランキングジャンル別「写真集」で声優の上坂すみれの写真集『すみれいろ』が初登場8位にランクインした。上坂は、ABCテレビ・テレビ朝日系列のTVアニメ『スター☆トゥインクルプリキュア』でキュアコスモ役を務めるなど声優として活躍する一方、歌手としても活躍。年末年始もテレビ、ラジオなどさまざまなメディアに出演し、「声優」という枠にとらわれないマルチな活躍をみせている。では、上坂のように「キャラクターの声」だけでなく、自らもどんどん露出していく「アイドル声優」の系譜はどのようにつながってきたのか。その変遷を追った。

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元祖アイドル声優はララァ役・潘恵子、80年代は歌手活動自体が極めて稀

 昭和のアニメ黎明期の声優は、現在の歌って踊ってビジュアルも売って…という姿とはかけ離れた存在だった。あくまで裏方としての役割が主であり、本人がメディアに露出するのはまれな事例。そんななか、“元祖アイドル声優”と言われたのは潘恵子だ。

 潘恵子は『機動戦士ガンダム』(1979年~1980年)で、悲劇のヒロイン、ララァ・スン役を演じた。主人公のアムロ・レイと心を通わせながらも敵味方に分かれ戦いを余儀なくされ、シャア・アズナブルとアムロがララァをめぐり戦う中で、非業の死を遂げてしまう。過去のインタビューで潘恵子本人が「ガンダムは舞台だと思って演じた」と語る通り、子供向けアニメの殻をかぶった重厚なストーリー展開に当時の大学生らが夢中になった。ララァは、ガンダムシリーズの普遍的テーマのひとつ【人と人は分かり合えるのか否か】を背負った重要なキャラクターだったのだ。潘はガンダムで名を知られた翌年にアルバムを発売、歌手としてもデビューし、計4枚のアルバムをリリースすることになった。

 アイドル声優黎明期の80年代に脚光を浴びた作品は他にも、『超時空要塞 マクロス』(1982年~1983年)のヒロイン、リン・ミンメイの声優とキャラが歌う劇中歌を担当した飯島真理は本作終了後にシンガーソングライターとしてデビューした。アニメ作品に登場するキャラクター名義でのリリース及び、アニメ×歌姫との親和性を知らしめ、以降の作品にも影響を与えることとなる。

 また、少し毛色は違うが、もう一人忘れてはならないのが、『タッチ』(1985年~1987年)の浅倉南役・日髙のり子だ。実は日高は、声優として知られる前はアイドルとしてデビューしており、音楽活動は1980年から行っている。“南ちゃん”で声優としてブレイク、そのキュートなルックスと声質、そしてアイドル然とした存在感で人気を博した。日高は、アイドルから声優に転換してブレイクを果たした。ただ、この時代は、声優業界の中でアイドル声優は少数派だったことは否めない。1980年代は声優の歌手活動自体が極めて稀であった。