倍率200倍!『Fukushima 50』プレミアで佐藤浩市、渡辺謙ら「明日への遺産に」

引用元:TOKYO HEADLINE WEB
倍率200倍!『Fukushima 50』プレミアで佐藤浩市、渡辺謙ら「明日への遺産に」

 映画『Fukushima 50』ワールドプレミアが26日、都内にて行われ、主演・佐藤浩市と渡辺謙、吉岡秀隆、緒形直人、平田満、萩原聖人、佐野史郎、安田成美らキャストと若松節朗監督が登壇した。

 2011年、巨大地震による想定外の津波に襲われ、全電源を喪失した福島第一原子力発電所に残り、原子炉の制御に奔走、海外メディアから“Fukushima 50”と呼ばれた現場作業員たちのドラマを描く。

 参加倍率200倍だったというワールドプレミアイベント。本作の音楽を手掛けた岩代太郎指揮のもと、劇中音楽の演奏も担当したヴァイオリニスト五嶋龍、チェリスト長谷川陽子、東京フィルハーモニー交響楽団と、そしてNHK東京児童合唱団も加わり、劇中曲3曲の演奏で幕開け。壮大な演奏による感動が広がった会場に、生演奏とともに登壇したキャスト8名と若松監督。

 数日前、津波のシーンを案じながら被災地での上映を行ったいう主演・佐藤は「エンディングまで見ていただければ必ず何かが残る映画です」と本作への思いを語り、渡辺も「被災地での上映で、当時は電源もなく情報もろくになかった、この映画を見てやっと当時の状況が分かった、ありがとうと言われたときは、誇りと、この映画を届ける自信を頂きました」。佐藤は「記録としても記憶としてもこの映画は残るだろうと思っています」と胸を張った。

 1・2号機当直長・伊崎利夫役の佐藤は“中操”と呼ばれる中央制御室、吉田昌郎所長役の渡辺は“緊対”と呼ばれる緊急対策室でそれぞれ作業にあたる役どころ。渡辺は「中操チームのシーンを先に撮影していて、その後、僕が回想シーンでクランクインし、浩市くんから“よろしく頼むね”と言われたとき、彼らが必死で撮った“ボール”を渡された気がした。これをこの熱さのまま緊対の中に、(緒形)直人にも佐野(史郎)さんにもぶつけないと、と思った。佐野さんには相当ぶつけました(笑)」と笑いを交えつつ、全キャスト一丸となった撮影を振りかえった。

 その思いを“ぶつけられた”内閣総理大臣役の佐野史郎は「よくこの役を受けましたねと言われる」と会場を笑わせつつ「確かに当時、現場をかく乱したと批判されましたけど、何も情報が上がってこない状況で、総理は自分で現場に行って判断しなければという決断だったんでしょう。何が正しかったかは分からないです。でも撮影中、何も情報がないなか何をどう判断したらいいか、僕自身探っていたのは事実です」と難役を振り返った。

 すると渡辺が「なぜこんな弁解するかというと映画を見てもらえれば分かります。でも佐野さんご自身はすてきな人です」とフォロー。佐野が「弁解では…」と苦笑すると、今度は佐藤が「佐野さん、そんなすてきな人かなあ」とまぜっかえし、会場はリラックスした笑いに包まれた。

 本作は世界73の国と地域で公開決定。渡辺は「なぜこのタイトルが英語表記になっているか。郡山から東京、全国、そして世界に届けるためだと思っています。思えば広島も最初はネガティブなワードでした。Fukushimaも今、ポジティブなワードではありません。でもこんな男たちが世界を救ったのかもと見せることができたら、それも変わっていくかもしれない」。佐藤は「負の遺産を、明日への遺産と変えられるよう皆さん、願ってください」と伝え続けることの大切さを訴えた。

 2011年、マグニチュード9.0最大深度7という巨大地震による想定外の津波に襲われ、全電源を喪失した福島第一原子力発電所に残り続け、原子炉の制御に奔走した現場作業員たちの知られざる真実のドラマを描く。

 映画『Fukushima 50』は3月6日より全国公開。