「衣装が自前」は当たり前 何着も用意して対応するのがプライド 芳野友美・再現いろはにほへと

引用元:夕刊フジ
「衣装が自前」は当たり前 何着も用意して対応するのがプライド 芳野友美・再現いろはにほへと

 【芳野友美 再現いろはにほへと(2)】

 「『再現ドラマならでは』なことはありますか?」とよく聞かれます。

 一番驚かれるのは、衣装が自前であること。私にとっては当たり前すぎて、周りが驚くことにまずびっくり、よくよく考えてみたらなるほどそうか…と納得、それだけ再現ドラマについて知られていないんだなと実感。

 と、いろいろな思いが湧き上がってきたんですが…そう、再現ドラマは特殊な衣装以外はほぼ自分で用意するんです!

 看護師とかコンビニ店員など職業のユニホームや、服が濡れたり汚れたりするシーンがある場合、着物やモンペなど時代劇などは用意してもらえます。

 時代についてその線引きは曖昧で番組にもよりますが、なんとなく私の経験上、1970年代以降は自前といった感じ。私物の中からそれっぽい衣装を探すのに一苦労です。

 「無茶ぶりな衣装発注は?」という質問も多いです。私の場合はバブル時代に流行った「ボディコン」ですかね(笑)。もちろん持っていなかったので…その旨を伝え、ボディーラインが出るようなピタッとしたワンピースを持って行った記憶があります。

 あと、衣装だけでなく、いわゆる小道具も自前です。靴やバッグ、エプロン、アクセサリーなど。

 この衣装発注、多くは撮影前日の夕方以降と、結構ギリギリなので、買い足しの時間は無いんです。いかに多くのバリエーションを蓄えているかが勝負!

 さて、どのように発注されるかと言うと。

 例)

  外出着 2ポーズ

  部屋着 3ポーズ

  オフイスカジュアル 1ポーズ

  (あれば)パジャマ・エプロン

 みたいな感じです。

 例えば「外出着」と言うのはもちろん、靴もバッグもアクセサリーも含まれてます。冬設定であればコートもです。

 制作側も私がどんな衣装を持っているか分からないわけですし、そうせざるを得ないので、かなりアバウトです。パンツかスカートか、明るい色合いかダークな色合いか、季節感…などはある程度どうとでも対応できるように多めに持っていき、現場で監督さんに選んでもらうという感じです。

 もう一つ、多めに持って行く理由として、当然衣装合わせなるものは無いため、共演者さんとの色被りや柄被りがあった時に対応できるようにというのもあるんです。

 奇抜な服など特殊な役でない限り無難なものを用意するので、白やグレーの色だったり、チェックシャツやボーダーカットソーだったりは、男女ともに被りやすい傾向にあるようですね。

 そんなこんなで、いろいろ考えて衣装を用意するので、撮影前日の夜はバタバタ。朝早いから早く寝たいけど、準備が終わらない!と、一人でテンパっております。

 まぁいろいろ書きましたが、これは強制ではなく、衣装が無いと言えば制作サイドが用意してくれます。あくまで制作側の手間も予算も増えるし、やっぱりできるだけ自前で何とかしたいという、私のささやかなプライドですかね。

 皆さんのささやかなプライドは何ですか?

 ■芳野友美(よしの・ゆみ)

 1980年7月2日生まれ、福岡県飯塚市出身。再現ドラマに多数出演する女優。その他、ドラマやCM、バラエティーでも活躍中。ハナマルキ「液体塩こうじ」CMに出演中、また田苑酒造イメージキャラクターを務める。