『ドラえもん』新作映画が今も続く、深いワケ。作者の死後に見つかった「メモ」には…

引用元:マグミクス
『ドラえもん』新作映画が今も続く、深いワケ。作者の死後に見つかった「メモ」には…

「映画ドラえもん」シリーズの40作めとなる『映画ドラえもん のび太の新恐竜』が、2020年3月6日(金)に公開されます。この大長編劇場版シリーズは、1980年の第一作『のび太の恐竜』の公開以降、ほぼ毎年新作が発表されています。これだけ長く続いたのは決して当たり前のことではありません。原作者である藤子・F・不二雄先生が亡くなった二十数年前のあの日、大長編劇場版シリーズは、原作マンガと共に終了してもおかしくはなかったのです。

【画像】藤子・F・不二雄先生からつながる『ドラえもん』のバトン(5枚)

 そうならなかった理由が、最初から最後まで寄り添ったアシスタントである、むぎわらしんたろう先生が藤子・F・不二雄先生の晩年を描いた『ドラえもん物語~藤子・F・不二雄先生の背中~』で語られています。

 幼少の頃から『ドラえもん』のファンで、藤子不二雄先生のような漫画家を目指していたむぎわら先生は、15歳になるや「コロコロコミック」の藤子不二雄賞に応募し始め、4年目の1987年にようやく佳作を受賞。受賞パーティで、ついに憧れの藤子不二雄先生と出会いました。しかし何とその数日後に藤子不二雄先生はコンビ解消を発表。あまりのことに呆然としている時、コロコロコミック編集部から「藤本先生(藤子・F・不二雄先生)のアシスタントをやってみないか」との連絡が入ったのです。

 1987年から1988年にかけては、『ドラえもん』にとっても藤子・F・不二雄先生にとっても激動の1年でした。例年「コロコロコミック」で大長編シリーズの連載が始まる秋、藤子・F・不二雄先生が体調不良で入院してしまい、劇場版の原作が描けなくなってしまったのです。そのため1988年に公開されたシリーズ第9作『のび太のパラレル西遊記』は、映画オリジナルの作品になりました。そして36年にわたるコンビを解消し、新事務所の立ち上げという騒動のなか、むぎわら先生は藤子・F・不二雄先生の初めてのアシスタントに採用されます。

 そんなむぎわら先生が描く晩年の藤子・F・不二雄先生は、優しさと厳しさを併せ持つ憧れの存在でした。微笑ましいエピソードが多く明かされる一方、むぎわら先生が事務所でのアシスタント作業の合間に描いた習作に対し、藤子・F・不二雄先生はほとんど全てのページに手厳しい注意や指摘を入れて返すなど、マンガに関してはやはり強いこだわりを持っていたことが感じられます。