空間を支配する存在感、間違いなくスター俳優の一人だった…記者が見た宍戸錠さん

引用元:スポーツ報知
空間を支配する存在感、間違いなくスター俳優の一人だった…記者が見た宍戸錠さん

 「エースのジョー」の愛称で親しまれた俳優の宍戸錠(ししど・じょう)さんが21日未明、都内の自宅で亡くなっているのが見つかった。86歳だった。死因など詳細は不明だが事件性はないという。1950年代に日活の第1期ニューフェイスに合格し、石原裕次郎さん(享年52)、小林旭(81)らと一世を風靡(ふうび)。頬を膨らませる整形手術でも知られた。2006年に虚血性心不全で手術、13年に自宅が全焼してからは表舞台に出てくることも減っていた。葬儀・告別式の日取り、喪主は未定。

 大昔に整形手術で顔をいじったり、家が燃えたり。本業以外の話題が強烈過ぎて「俳優・宍戸錠」の評価が後回しになりがちだ。大柄で整った容姿。登場しただけで空間を支配する存在感。自らバイプレーヤーの道を選んだが、間違いなくスター俳優の一人だった。

 海外でも再評価されている奇才、鈴木清順監督に信頼された。「殺しの烙印」はあまりに有名だがこまやかな感情の機微が表現された「肉体の門」(64年)も代表作だ。不思議な包容力を感じさせる華やかさ、低く響くぬくもりある美声。芝居に、この人にしか出せない味わいがあった。

 12年9月、日活調布撮影所での100周年創立イベント。宍戸は乾杯前からビールをぐびぐびあおり、取材時には顔が真っ赤。「自分の人生はもう短いが、新しい100年も俺たちの時代みたいにやってくれ」。酔った姿がなぜか不快ではなかった。本来スターなのに確信犯的に道化的に振る舞い、ムードメーカーになっているように映った。(内) 報知新聞社