岩井友見11代目岩井半四郎 68歳で襲名決めた訳

引用元:日刊スポーツ
岩井友見11代目岩井半四郎 68歳で襲名決めた訳

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

日本舞踊の正派岩井流宗家の岩井友見(68)が、5月2日に東京・国立劇場で開催する「岩井会」で11代目岩井半四郎を襲名することになり、先日、会見を行った。

岩井半四郎は江戸時代から続く歌舞伎の名跡。初代から3代目までは立役だったが、4代目以降は女形となり、特に5代目は江戸1番の人気役者になった。10代目は友見の実父で、11年に亡くなっていた。

友見は「どなたかに継いでもらうか、止め名にするか悩みに悩みました。江戸時代から368年も続く半四郎の名跡を止めるのはおこがましいと思った。舞踊家としての分野で11代目として継ぎたいと思った。命をとして精進していきたい」と話した。

68歳で襲名を決めた理由として、会見に同席した花柳流の花柳寿應の舞踊を見たことを挙げた。「船弁慶」で静御前を踊った姿に「私とは20歳も違うけれど、その神々しい姿に思わず涙してしまいました。私は68歳ですが、人生100年の時代。寿應さんの年齢まで頑張って踊っていきたいと思いました」。

女性が歌舞伎の名跡を継承するのは異例だが、友見は「あくまでつなぎ役です。何とか次の時代につなげなくてはいけないと思った」という。実際に18代まで続く「中村勘三郎」の名跡でも、15代目の娘が16代目を継いだケースがある。松竹の安孫子副社長も「女性が継いで次代に託すこともあった。まずは継承することが大事。次の世代につなげることを応援したい」。

歌舞伎界では「市村羽左衛門」「守田勘弥」「沢村宗十郎」など、先代が亡くなってから空いている大名跡がいくつもある。それを誰が継ぐのか。令和の時代にそれらの襲名があるのか。ちょっと気になります。【林尚之】