乃木坂46・生田絵梨花「今しかできない経験に幸せの瞬間がある」 3月公演「ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~」ヒロイン

引用元:夕刊フジ
乃木坂46・生田絵梨花「今しかできない経験に幸せの瞬間がある」 3月公演「ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~」ヒロイン

 日本初演のミュージカル「ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~」(白井晃演出)が3月に日生劇場で上演される。「オペラ座の怪人」「キャッツ」など数々の傑作ミュージカルを生み出した世界的巨匠、アンドリュー・ロイド=ウェバー氏が脚本・作曲を手がけた同作でヒロインのスワローを演じるのが、アイドルグループ、乃木坂46の中心メンバーであるこの人だ。

 「これまで『オペラ座の怪人』のDVDを何度も見て、誰に聞かせるでもなく1人で楽曲を歌っていたんです。いつかこの方の作品に出たい。その夢が実現して、すごくうれしいです」

 物語の舞台は1959年、米ルイジアナ。少女スワローはある日、命からがら脱獄して納屋に身を潜めていた1人の「男(ザ・マン)」(三浦春馬)と出会う。彼をイエス・キリストの生まれ変わりだと信じ、死んだ母にもう一度会いたいと懇願するスワロー。ザ・マンは純粋な瞳を持つ彼女に犯罪者という自分の本性を打ち明けられず、キリストとして過ごすことになるのだが-。

 「純粋に信じるスワローの心を大切に演じたい。楽曲はもちろん、出演者の皆さんもすごくすてきな方ばかりです」

 「何だ、アイドルがやるのか」と侮るなかれ。次々と大舞台を経験し、昨年4月に菊田一夫演劇賞を受賞した逸材だ。

 「ずっと目標にしていたミュージカルに立て続けに出演していることは、とてもありがたいです。ただ私はまだ足を踏み入れたばかり。末永く舞台のお仕事を続けていくためにどうすべきかを模索していきたいです」

 幼い頃に「アニー」を見て心を打たれたのが、華やかな舞台を目指すきっかけ。その後、たまたま目にした乃木坂46のオーディションに応募し、倍率約1000倍という狭き門を突破した。

 「乃木坂の活動が始まってからは、やることがたくさん集中していたので、舞台のことを考えられる余裕はまったくありませんでした」

 しかし月日を重ねるにつれ舞台女優への情熱がふつふつと沸き上がる。そこで一念発起。事務所スタッフと話し合いを重ねて自ら履歴書を用意し、2017年上演の「ロミオ&ジュリエット」に一般オーディション枠で飛び込んだ。

 ■後輩の存在が成長に

 そのガッツが実を結び、見事ジュリエット役に抜擢(ばってき)された。さらに同年の帝国劇場「レ・ミゼラブル」でジャン・バルジャンの養女、コゼット役に挑み、第8回岩谷時子賞奨励賞を受賞。演劇界に欠かせない“ミュージカルの女王”へと変貌を遂げる一方、乃木坂でも10枚目のシングル「何度目の青空か?」でセンターを務めるなどグループの中で牽引(けんいん)役を担っている。

 「ちょっと前までは『自分なんて…』と、毎回不安だったんです。でも今は表現するために自分がどうすべきなのかを考えられるようになりました。少しは踏みしめられるようになったのかな。後輩も増えて相談される立場になってきたので、しっかりしなきゃいけないと意識するようにもなって。後輩ができるということが、自分自身にも勉強になっているんだと思います」

 売れっ子アイドルと舞台女優業でスケジュールはかなりハードだが、「今しかできない経験です」と前向きだ。

 「自分のプライベートよりも仕事優先になる時間のほうが圧倒的に多いですが、それぞれに幸せの瞬間があるんです。乃木坂のメンバーとたわいもない話で笑い合ったり、ファンの皆さんが声援を送ってくださったり、舞台で温かい拍手をいただけたり。その幸せがあるからこそ乗り越えられます」

 そして「でも甘えていてはいけない。覚悟を持って、それぞれの現場で責任を果たすことを忘れてはいけないと思うんです」と続ける。

 22歳にしてこの力強い言葉。その瞳に決意の光が宿っていた。(ペン・磯西賢/レイアウト・高木洋平)

 ■生田絵梨花(いくた・えりか) 歌手、女優。1997年1月22日生まれ、22歳。独デュッセルドルフ出身。2011年に乃木坂46第1期生オーディションに合格。翌年「ぐるぐるカーテン」でCDデビューし、以降は中心メンバーとして活躍中。昨年、2冊目の写真集「インターミッション」(講談社)が「オリコン年間BOOKランキング 2019」の写真集ジャンルで1位を獲得した。