「麒麟がくる」チーフP・落合将氏「困難な時代を生きる光秀は希望の象徴」

引用元:スポーツ報知
「麒麟がくる」チーフP・落合将氏「困難な時代を生きる光秀は希望の象徴」

 NHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(19日スタート、日曜・後8時)の初回試写会が16日、東京・渋谷の同局で行われた。スポーツ報知では、初の4Kフル撮影で戦国時代を描く作品の魅力を出演者、スタッフの証言を基に全3回の連載で紹介する。初回は制作統括の落合将チーフプロデューサー。

 人気が高く王道とも言える戦国時代を描く。落合氏は「戦国時代をやろうというのが(ドラマ番組)部の意向としてあった。僕としては時代の過渡期をやるのは悪くないなと思いました」と振り返る。

 戦国初期をイメージして、池端俊策氏に脚本を依頼した。「池端さんは『太平記』(91年)で室町時代の成り立ちを描いたので“終わり”をやりたいと…。そこで合致しました」。主人公は明智光秀。本能寺の変で主君・織田信長を討った“裏切り者”の印象が強いが「『光秀がこんなに立派ですよ』というドラマではなく、一人の青年が困難な時代をどう生きたか…」。立身出世の一代記ではなく群像劇として描く。

 4Kフル撮影に映えるように、カラフルな世界を打ち出す。黒澤和子さんが衣装デザインを手がけ、役者ごとにテーマカラーを決め、色鮮やかな衣装をまとう。「演出の大原(拓)君のアイデアですが(当時も)実際に着るものはカラフルで派手だったようです」

 落合氏が担当した「平清盛」(12年)では、映像を当時のトレンドで映画的にぼやかした。「後悔はないですが、反省はあって、芸術的でもそれが『嫌だ』となる視聴者もいる。テレビドラマだし、今回はクッキリと色味を出しています」と挑戦を語った。

 大河ドラマは老若男女、全世代がターゲットでもある。メインでもある高齢者の期待に応えるべく武将の対決などを重厚に描きながら、一方で女優・門脇麦(27)が演じる駒など実在しない架空の人物も登場する。「駒の存在は朝ドラ的な感じを交ぜている。若い方が見ても口当たりがいいように分かりやすくしています」

 今、光秀を扱う意義も感じている。「いろんな枠組みが崩れた困難な時代を生きていく光秀が希望の象徴になるというか、昭和の価値観が崩壊していろいろと変化がある今の時代に合うと思いました。無意識の中で共鳴するというか、『光秀が頑張っているから俺も頑張ろう』と思ってくれれば」と新時代の大河として期待を寄せている。(高柳 義人) 報知新聞社