新井浩文被告に実刑判決、懲役5年 東京地裁裁判長「卑劣で悪質」

 昨年7月、派遣型マッサージ店の女性従業員(当時31)に乱暴したとして、強制性交罪に問われた元俳優、新井浩文(本名・朴慶培=パク・キョンベ)被告(40)の判決公判が2日、東京地裁で開かれた。滝岡俊文裁判長は「性的自由を侵害する卑劣で悪質な犯行」として求刑通り懲役5年を言い渡した。女性と示談は成立しておらず、執行猶予なしの実刑に。同被告側は判決を不服とし、即日控訴した。

 9月2日に初公判が開かれ、前回10月23日の第3回公判で結審。女性に謝罪しつつ、一貫して無罪を主張した新井被告に法の裁きが下された。

 この日も黒のスーツ姿だったが、以前より白髪が目立っていた。滝岡裁判長の「証言台の位置についてください」の求めに「はい」と小声で応じて一礼。「次の通り判決する。懲役5年に処する」と言い渡されると、実刑を覚悟していたのか、取り乱すことなく視線を落とした。

 今回の争点は新井被告による〔1〕暴行の有無〔2〕性交の合意があると誤信したかどうか。検察側は女性について「入れないで」などと抵抗して拒否していたと説明。誤信はないと主張していた。

 判決理由では〔1〕について、身長約20センチの体格差や新井被告が部屋を暗くして犯行に及んだ状況などを踏まえ、女性は「抵抗することが困難」と説明。その上で性交や頭を両手でつかんで口付近に陰茎を押し当てたなどの行為を暴行と認定した。

 〔2〕については、新井被告は事前に性的サービスを行わないとする同意書に署名し、性交の直前には(性器をこすりつける)素股を求めた際に拒否されたことを認識。「誤信は想定しがたい」と指摘した。さらに「悪いことをしちゃった」などと言いながら女性のバッグに現金7万円を押し込んでおり、「女性の意思に反するとの認識があった」と付け加えた。

 滝岡裁判長は「犯行は被害者の性的自由を侵害する卑劣な行為で悪質なものというほかない。厳しい非難に値し、被害者の処罰感情が厳しいのも当然」とし、懲役5年を言い渡した。

 強制性交罪は5年以上20年以下の懲役。新井被告は初犯で情状酌量も考えられたが、女性は1000万円と2000万円の示談金を拒否しており、執行猶予なしの求刑通りの判決となった。

 最後に滝岡裁判長は「罪を償った上で、信頼を取り戻すべく努力をしてほしい」と説諭。新井被告はこの言葉にも冷静に耳を傾けていた。

 一方で新井被告側は地裁の判決を不服として即日控訴。審理は東京高裁で行われ、引き続き無罪を主張する。