ウルトラシリーズの人気者? 2020年の刺客「ケムール人」 その謎めいた魅力とは

引用元:マグミクス
ウルトラシリーズの人気者? 2020年の刺客「ケムール人」 その謎めいた魅力とは

 1966年に放送された怪奇特撮番組『ウルトラQ』は、後に『ウルトラマン』を製作した円谷特技プロダクションの卓越した特撮技術により、お茶の間の目をくぎ付けにしました。なかでも19話「2020年の挑戦」に登場するケムール人は、その恐ろしさと秀逸なデザインから人気が高く、ウルトラシリーズ最古の宇宙人のひとりとして、今なお新作に登場し続けています。ウルトラシリーズをこよなく愛するライターの早川清一朗さんが、“2020年からの刺客”、ケムール人について語ります。

【画像】「2020年」でも活躍? ケムール人と『ウルトラQ』の軌跡(8枚)

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「フォッフォッフォッフォッフォ」

 これがケムール人の声ですと書くと、「それってバルタン星人の声じゃない?」とツッコミを入れてくる人がいるでしょう。

 正解です。

 実はバルタン星人もケムール人も同じ声なのです。より正確に言えば、この声は1963年に公開された特撮ホラー映画『マタンゴ』に登場するマタンゴの声であり、バルタン星人もケムール人もこの声を流用しています。

 さて、このケムール人が登場する『ウルトラQ」の第19話「2020年の挑戦」が放送されてから54年が経過し、ついに現実の2020年に到達してしまいました。

 20世紀には、近未来として「21世紀」を舞台にした作品が数多く作られています。「新世紀エヴァンゲリオン」は2015年が舞台ですし、「鉄腕アトム」が生まれるのは2003年です。ほかにも2020年を舞台にした作品といえば、大友克洋氏の『AKIRA」が代表格と言えるでしょう。

 とはいえ「2020年の挑戦」は2020年が舞台というわけではありません2020年のケムール星から地球人を誘拐するためにケムール人がやってきたというお話です。ケムール人自体、「誘拐怪人」なんて呼ばれてますからね。

 なぜケムール人が地球人を誘拐するのかと言いますと、ケムール人は肉体の改造により500年の長寿を誇っているのですが、彼らの優れた技術をもってしても肉体の衰えは補うことができず、そこで地球人の若い肉体を手に入れるために時を超え宇宙を超えてきたのだそうです。

「時間超えられるんだったら、そっち方面の技術でなんとかしてくださいよケムールさん」と言いたいところですが、そうすると話が始まらないのも痛いところです。普通に細胞をクローン培養するとか色々やり方はあると思うんですよねえ……。

 それにしても、人間の体なんて手に入れてどうするんでしょう。一説によれば若い男性を食べるらしいのですが、食べて若さを取り戻すというのも実にオカルトな話です。本当はどうやって使うつもりだったのか、少し知りたい気もします。