ワーナー・ブラザース、製作する映画の選択にAIを活用

引用元:IGN JAPAN
ワーナー・ブラザース、製作する映画の選択にAIを活用

報道によると、ワーナー・ブラザース・エンターテイメントは人工知能(AI)を専門とするCinelytic社とパートナーシップを組み、これから製作する映画を選択する際にAIを用いるという。Cinelytic社の創業者兼CEOのトビアス・クイッサーは、新技術が「大量の演算と巨大なデータセットの分析」の手助けになると話している。
新しいAIのテクノロジーは、ワーナー・ブラザースがゴーサインを出す段階で活用される。その過程で、会社の幹部はたくさんのデータを見て、1本1本の映画が利益をもたらすかどうかを判断しなければならない。ワーナー・ブラザースの目的は、Cinelytic社のAIを使うことで、より正確なデータを得て、視聴者のニーズにピッタリ合う選択をすることである。新しいAIシステムは映画の推定利益の試算に役立つと期待されている。
ワーナー・ブラザースの前に、Cinelytic社はすでにインジーニアス・メディアやプロダクティビティ・メディアと協業している。同社は2018年にTB Media Globalから225万ドルの資金を獲得し、 マシンラーニングを向上させ、各社のリーチをさらに伸ばすことに努めている。
ハリウッド・リポーターによると、ワーナー・ブラザースは人間をテクノロジーに置き換えるわけではなく、ゴーサインを出す作業の効率化を図っているという。「全般的な映画商品の評価やスターの価値の推定において、システムは人間が何日も費やさなければならない計算をたった数秒で完成させることができます」とクイッサーはハリウッド・リポーターに話した。
「AIは怖そうに聞こえるかもしれませんが、いまのところ、AIはクリエイティブ面の判断ができないのです」とクイッサーは続ける。「AIの長所は、大量の演算と巨大なデータセットの分析、そして人間には見えないパターンの発見にあります。クリエイティブ面の意思決定に関しては、人間の経験と本能的直感が必要です」

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ワーナー・ブラザースは製作する映画の選択において、Cinelytic社のAIを利用する最初のスタジオではない。2019年に不振に終わった映画『Playmobil: The Movie』や『Uglydolls』(いずれも原題)をリリースしたSTXエンターテインメントは、昨年9月にCinelytic社と契約したばかりだ。
2019年のワーナー・ブラザースは、『ドクター・スリープ』や『The Kitchen』、『The Goldfinch』が興行的に失敗した一方、『ジョーカー』が大成功を収めている。アーサー・フレック/ジョーカーを演じるホアキン・フェニックスは、第77回ゴールデングローブ賞でドラマ映画部門の主演男優賞を受賞した。同作の脚本も全米脚本家組合により、脚色賞にノミネートされた。世界興行収入が10億ドルを超えた『ジョーカー』はまた、映画部門でIGN USの読者投票によるアワード「People’s Choice」を受賞している。 Andrew Smith