総合武器見本市『DSEI Japan 2019』に見る日本の現実 「平和提唱」と「戦争エンタメ人気」の二面性

引用元:オリコン
総合武器見本市『DSEI Japan 2019』に見る日本の現実 「平和提唱」と「戦争エンタメ人気」の二面性

 防衛装備品の展示会『DSEI Japan 2019』(11月18日~20日)が日本で初開催され、日本からは61社が参加した。しかし、反対派からは総合武器ビジネス見本市とも称される本展示会の日本開催には、批判の声も少なくなかった。その一方で、エンタテインメントでは、映画『シン・ゴジラ』を始めとして、武器や防衛装備がリアルに表現されている作品は人気ジャンルのひとつとなっており、ここにある種の社会的な二面性があるといってもいい。今回、これまでエンタメ系メディアの取材は一切断ってきたという同展示会の主催者・クライシスインテリジェンス社長の浅利眞氏に話を聞くことができた。武器市場における日本の優位性やポジション、戦争とエンタテインメントへの意識とは。

【写真】会場に運び込まれた迷彩カラーの実物の装甲車

■アジアは世界から取りこぼされていた。日本で『DSEI』が開催されたわけ

『DSEI Japan 2019』は、陸海空にまたがる総合的な武器ビジネスの展示会で、もともとはイギリスのイベント。日本での開催は今回が初で、イギリスやアメリカなど26ヶ国178社が参加し、日本企業は61社がブースを構えた。同展示会には、エンタメ系メディアからの取材オファーもあったが、参加は不可。その理由について浅利氏は「展示会に入場できるのは、防衛・セキュリティビジネスの関係者のみ。出展および参加企業は、国や政府機関に認められ、法的に認められたビジネスを行っている、安全保障に貢献する企業や団体関係者です。人の生死がかかっているシリアスな分野であるため、直接のビジネス関係者のみの参加とさせていただいています」と語る。

『DSEI』が日本で初めて開催されることになったことについては、必然の流れがあった。『DSEI』の一番大きなポイントは「安全保障のネットワーキング」。これまでは、欧州を中心にアメリカや南米、中東までの企業と政府のネットワークが形成されてきており、アジアはその網から外れ気味であった。それがここ近年になって、危険な国や地域が出てきた場合は、世界全体で抑え込んでいこうとする時代へと移り変わっているなか、アジアにもそのネットワークの形成を進める流れがあり、「アジアでもっとも安定した民主主義国家であり、かつ政府が安全保障や防衛産業を安定的にコントロールしている国ということで、日本が選ばれたというのが経緯です」(浅利氏)

 2013年以降、日本企業も出展していたが多くても10社程度だった。それが今回は61社へ。日本企業側からは「日本にはこの手の専門的な展示会がなかった。こういった専門的な企業間のネットワークや、政府ときちんと対話のできる場所が初めてできたのは大きな意義がある」などの声が寄せられたという。