山崎まさよし、精力的にデビュー25周年イヤー…長編映画出演&3年ぶりアルバム発売 

引用元:スポーツ報知
山崎まさよし、精力的にデビュー25周年イヤー…長編映画出演&3年ぶりアルバム発売 

 シンガー・ソングライターの山崎まさよし(48)が、デビュー25周年イヤーを迎えた。昨年11月に「LIFE」以来3年ぶりの新アルバム「Quarter Note」を発売。14年ぶりに長編映画「影踏み」(篠原哲雄監督)に主演するなど、精力的な活動が目立つ。山崎は「ただただ音楽が好き。いけるところまでいきたい」。アニバーサリーイヤーへの思い、今後の活動について語った。(加茂 伸太郎)

 1997年のラブバラード「One more time,One more chance」がロングヒットして以降、第一線で活躍を続けている山崎。確かな歌唱力と味のある歌声に、より磨きがかかり円熟の域に入った。

 昨年11月公開の映画「影踏み」(横山秀夫原作)に主演した。「One more time―」が主題歌だった俳優デビュー作の映画「月とキャベツ」(96年)以来、篠原監督とは23年ぶりのタッグだった。「プロデューサーをはじめ、ほぼ同じスタッフが集結した。あの作品から曲がヒットして、それが布石になって現在に至る。25周年イヤーに公開を迎えられたのは不思議な縁を感じたし、うれしかったですね」

 長編映画の主演は「8月のクリスマス」(05年)以来14年ぶり。映画の音楽と主題歌も手掛け、「有意義な時間だった」とほほ笑む。「役者の方々は独自のやり方を持っていると思うけど、僕はほとんど役作りをやったことがない。共演者の作った役の雰囲気に乗っかるスタイルだから。僕からのアプローチはほとんどないんです。でも、音楽は逆で自分から(発信する)。そうしないと成立させるのが難しい。撮影の現場を感じられたのはよかったですね」

 95年にシングル「月明かりに照らされて」で歌手デビューしたが、きっかけは勘違いから始まった。レコード会社「キティレコード」の歌手オーディションと思い込み、91年に映画製作会社「キティフィルム」の俳優オーディションを受けた。そこで歌手としての才能を評価され、審査員特別賞を受賞した。

 「キティレコード」に所属し、92年にRCサクセションの「トランジスタ・ラジオ」のカバーを発売したが、会社の経営悪化などもあり、デビューまで3年を要した。「ちょっとしかプレスしなかったけど、CDを出せるだけでうれしかった。『名刺代わりだから、向こう2~3年は作詞・作曲を』と言われ、それが20歳くらいの時。23歳でポリドールと契約できた。集客が増えて、小屋も大きくなり、さまざまなミュージシャンとセッションさせてもらえた。その経験は大きかったですね」

 篠原監督との出会いも偶然だった。渋谷のライブハウスで、「月とキャベツ」の主役候補だった対バン相手を見に来た監督の目に留まった。「何か感じるモノがあったらしいです」。完成していた「One more time―」の主題歌起用を条件に主演が決定。詞の内容が脚本ともリンクした同曲は出世作となった。

 CDから定額制の音楽ストリーミングが主流になり、25年の間に音楽を取り巻く環境は様変わりした。激しい変化の中に身を置いても、「聴く側の意識はそんなに昔と変わっていないと思う」と淡々。「若い時は流行の曲に手を付けるけど、大人になれば、自分が気に入ったものだけをチョイスするようになる。いい曲であれば、聴く側が探しに来ると思う。(曲は)量産されるけど、聴く側が選ぶ時代。結果、いいものだけが残っていく。それは変わらない」と冷静に分析する。

 SMAPに楽曲提供した「セロリ」や「僕はここにいる」などのヒット曲を生んだが、ヒットの欲求以上に長く愛される曲、より良質な曲をという思いが強くなった。「ヒットは時のいたずらなんです。こだわりはそこまでない。今はバッと広がってギュッと熱が上がる分、冷めるのも早いですから」。理想は「One more time―」の時のような広がりだ。

 「ツイッターやLINEのない時代で、『何かいい歌がある』という口コミで広がっていった。全貌が見えないから、『どんなん?』という興味があったんじゃないかな。何せ音楽は聴いてもらわないと始まらない。広がり方としては美しかったですね。米津玄師さんがすごいのは、世代の垣根を越えていること。僕の場合、生まれた年が第2次ベビーブームで人口が多い! 横(の世代)にガーっとなるだけ(笑い)」

 「基盤づくりみたいな時期は終わっている。この先、劇的に何かが変わることはない」というが、向上心は尽きない。「『いい曲』の定義は何かだったり、考えるのが好き。常に、音楽的に新しいことにチャレンジしていたい。『シンプルだけど深い』という難解なことを追求していきたい」

 2年後に50歳になるが、まだまだ通過点にすぎない。「高いキーが出なくなるとか、年齢とともに受け入れることも大事になる。でも、それってめっちゃ悔しいじゃないですか。昔はできていたのに、というのは。『変わらない歌声ですね』と言われると、やっぱりうれしい。そういった声は原動力になっています」

 ライブへのこだわりも人一倍強い。2月1日から全国ツアー(群馬・高崎芸術劇場から全20公演)を控える。「海外のミュージシャンは年を重ねても、ショーに神経を注いでいる。東京五輪がありますが、その盛り上がりの裏で、僕なりにやってやろうと思います」

 ◆自宅で全11曲収録

 「Quarter Note」には、テレビ東京系「駐在刑事」の主題歌「アイムホーム」、映画「君から目が離せない ~Eyes On You~」の主題歌「Eyes On You」など全11曲を収録。その全てが自宅のスタジオで制作された。山崎は「設備的には、原盤制作できるレベル。前の家にもスタジオはあったけど、ふんだんにカルテット(四重奏)を録(と)れたり、試験的に音の感じを試したりが、できるようになった。可能性を広げられるようになった」と充実感を語った。

 ◆山崎 まさよし(やまざき・まさよし)1971年12月23日、滋賀・草津市生まれ。48歳。山口・防府市で育ち、95年「月明かりに照らされて」でデビュー。キャッチコピーは「天才より凄(すご)いヤツ」。98年から、同じ事務所の杏子らと「福耳」としても活動。2005年NHK紅白歌合戦初出場。16年「映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生」の主題歌「空へ」を担当。全国各地のフェスに精力的に出演。身長176センチ。血液型A。 報知新聞社