見終わったらシャーリーズ・セロンに恋しそう… 「ロング・ショット」

引用元:夕刊フジ

 公開は年明け1月3日。お年玉のように得した気分になれる作品だ。

 強いヒロインを演じてきたシャーリーズ・セロンとスタンダップコメディアンから転身したセス・ローゲン主演の映画「ロング・ショット」。「僕の彼女のありえない恋」というサブタイトルが中身をにおわせる。

 セロン演じるシャーロット・フィールドは米国務長官。世界を飛び回り環境問題に取り組み、国民の人気も抜群、そのうえ才色兼備という欠点の探しようがない女性だ。

 一方、ローゲン演じるフレッド・フラスキーは相手への忖度(そんたく)が1ミリもできないジャーナリスト。勤務する新聞社が大衆迎合的なメディア王に買収されると知るやサッサとやめてしまう。感情の制御もできない男だ。見かけもさえない。

 この2人が、とあるパーティーで出会う。秘書に囲まれ、ボディーガードに守られ、世界のトップと渡り合うセロンは大統領選に出るため、フレッドをスピーチライターに雇う。2人が栄光へとかっこよく駆け上がっていく…わけではなく、任務とよろいをまとった国務長官が、えええ!というところまでやってしまう、ちょっと外した部分が笑えるコメディーなのだ。

 セロンがこんなコメディエンヌだったとは! という発見がうれしい。日本なら中谷美紀(凛とした感じが似ている)がクールな外務大臣を演じ、時々「こんちくしょう!」と小声でののしったり、セックスにちょっとアブな注文をしてしまう感じ。見るものは当然ギャップに萌える。

 どうやらアメリカンジョークとやらがちりばめられているらしい。アメリカ人の感性が分からないとジョークの真意に触れられないが、字幕でも笑えてしまう。

 メディア王を演じるいけ好かない野郎は、どうも現実の大統領とダブってしまう。特に髪形の押しの強さが!

 劇中の大統領は元テレビスターで、自分がテレビで大統領を演じたレガシー映像を見るのが大好きな男。しかも大統領は2期目を狙わずに、ハリウッド進出を狙っているというドリーマーだ。

 それぞれに、まっとうな部分とまっとうじゃない部分があり、その度合いがおかしい。

 見終わったら大抵の男はセロンに恋をしそうで、逆シンデレラのさえないジャーナリストを恨めしく思うことだろう。いいなぁ、逆玉…。