宙組「El Japon」東京公演開幕、ショーでは真風涼帆がクールに酔わせる

宙組「El Japon」東京公演開幕、ショーでは真風涼帆がクールに酔わせる

宝塚歌劇宙組「宝塚ミュージカル・ロマン『El Japon(エル ハポン)-イスパニアのサムライ-』」「ショー・トゥー・クール『アクアヴィーテ(aquavitae)!!』~生命の水~」の東京公演が、昨日1月3日に東京・東京宝塚劇場で開幕。これに先駆け同日、公開舞台稽古と囲み取材が行われた。

【写真】宝塚歌劇宙組「宝塚ミュージカル・ロマン『El Japon(エル ハポン)-イスパニアのサムライ-』」より。(メディアギャラリー他8件)

「El Japon(エル ハポン)-イスパニアのサムライ-」は、大野拓史が作・演出を手がけたオリジナルミュージカル。主人公の蒲田治道(真風涼帆)は、和賀忠親の家臣として一揆に参加し、和賀家と共に没したとされる実在の人物だが、劇中では生きながらえた彼が剣を捨て、慶長遣欧使節団の一人としてスペインに渡り数奇な運命をたどる姿が描かれる。

国王フェリペ3世との交渉が行き詰まり、滞在が伸びていた使節団。治道はそこで日本人奴隷たちの匿い先を探して宿屋の女主人カタリナ(星風まどか)と出会う。悲しい過去を持ちながらも強く生きるカタリナの姿に、治道はある女性の姿を重ねてしまう。やがて任務を終えた使節団の出航が迫る中、カタリナが拐われたとの知らせが入り……。

さまざまな人物の思惑が交錯する中、ダイナミックな立ち回りや笑いのシーンが盛り込まれる。真風は、治道の精悍な侍像を堂に入った立ち姿で魅せつつ、かつて見捨てた女性への自責の念、“恐れ”に対する苦悩や葛藤など、役の多層的な背景もしっかりとにじませる。星風は、後悔と悲しみをたたえる未亡人カタリナを、芯の強さも感じさせる好バランスで演じた。彼女の亡夫の友人で流れ者のアレハンドロに扮する芹香斗亜は、友が残したものを守ろうとする粋な剣士を好演。剣だけでなく銃も併用し、飄々と器用に立ち回った。

ウイスキーを題材にした藤井大介作・演出によるショー「アクアヴィーテ!!-生命の水-」では、琥珀色の衣装に身を包んだキャストが、ジャズやブルースなどの楽曲を次々と歌い踊る。持ち前のクールな雰囲気で客席を魅了する真風、かわいらしさとつやっぽさを情感豊かに演じ分ける星風、ずば抜けた色香で観客の視線を引き寄せる芹香、そのほかダンスに長けたキャスト、ハンドマイクを手に歌唱披露するキャストなど、それぞれの個性が観客を酔わせる構成となっている。

舞台稽古終了後の囲み取材には、真風と星風が出席。真風は開口一番「皆様、明けましておめでとうございます」と挨拶する。「今の宙組に当てて書いていただいたキャラクターが登場するお芝居と、ウイスキーをテーマにした大人っぽくも華やかなレビュー、どちらもオリジナル作品で幕が開くまではドキドキしていました。お芝居の舞台はスペインですが私は日本人の役なので、立ち回りなどの所作に気を付けてお稽古をしてきました。ショーではプロローグからバーカウンターがセットになっています。振付も盛り上がるので、お楽しみいただけたら」と語り、「今年は宙組それぞれのキャラクターをたくさん楽しんでもらえるよう、舞台人として私自身も組も、個性豊かになることを目標にがんばっていきたいと思います」と抱負を語った。星風は「スペインの女性として芯の強さを表現したいなと(役作りの)勉強をしました。お芝居では日本とスペインの異文化的な雰囲気をお楽しみいただきたいです。ショーは中詰めが“ザ・宝塚”な華やかなメドレーで、好きな場面の一つです」と明かした。上演時間は30分の幕間休憩を含めて約3時間。公演は2月16日まで。

■ 宝塚歌劇宙組「宝塚ミュージカル・ロマン『El Japon(エル ハポン)-イスパニアのサムライ-』」「ショー・トゥー・クール『アクアヴィーテ(aquavitae)!!』~生命の水~」
2019年11月15日(金)~12月15日(日) ※公演終了
兵庫県 宝塚大劇場

2020年1月3日(金)~2月16日(日)
東京都 東京宝塚劇場

□ 「宝塚ミュージカル・ロマン『El Japon(エル ハポン)-イスパニアのサムライ-』」
作・演出:大野拓史
出演:真風涼帆、星風まどか ほか

□ 「ショー・トゥー・クール『アクアヴィーテ(aquavitae)!!』~生命の水~」
作・演出:藤井大介

出演:真風涼帆、星風まどか ほか

※「El Japon」のoはアクサン付きが正式表記。