ゲーム19XX~20XX第15回:フィットネスゲーム『Wii Fit』の人気が沸騰、海外の名作も登場した2007年のゲームを紹介

引用元:インサイド
ゲーム19XX~20XX第15回:フィットネスゲーム『Wii Fit』の人気が沸騰、海外の名作も登場した2007年のゲームを紹介

Nintendo Switchのフィットネスゲーム『リングフィット アドベンチャー』(任天堂)が大人気です。2019年10月18日の発売以来、出荷されるや瞬く間に売り切れとなる状態が続いており、全国的な品薄状況となっています(2019年12月25日時点)。

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実は、任天堂のフィットネスゲーム『Wii Fit』が発売された12年前にも同様の現象が起きています。このときも実際に身体を動かすプレイ感覚や健康志向の要素などが受け、全世界で大ヒット。専用コントローラーの「バランスWiiボード」が品薄となる状態が長く続きました。今回はこの『Wii Fit』が登場した2007年のゲーム業界を振り返っていきます。

2007年は政治が混迷した1年でした。自民党は政治とカネにまつわる問題が続発し、参院選で大敗。続投を表明していた安倍晋三首相が、突如退陣するなどゴタゴタが続きました。さらに海外ではアメリカで起きたサブプライム問題が世界の金融市場を直撃。この問題は翌年の世界金融危機へと繋がっていくことになります。

スポーツでは怪物・松坂大輔がメジャーリーグでデビュー。ボストン・レッドソックスのワールドシリーズ制覇に貢献しました。横綱・朝青龍の仮病疑惑による2場所出場停止処分や時津風部屋の新弟子暴行死事件の発覚など相撲界で不祥事が相次いだのも、この年の出来事です。亀田三兄弟の次男・亀田大毅が、内藤大助とのボクシング世界タイトルマッチで反則を連発したことから起きた亀田一家へのバッシングも大きな話題となりました。

この年のヒット曲は秋川雅史の『千の風になって』(発売は2006年)、コブクロの『蕾(つぼみ)』、宇多田ヒカルの『Flavor Of Life』など。映画は木村拓哉主演の同名人気ドラマを映画化した『HERO』、硫黄島の戦いを日米双方の視点から描いたクリント・イーストウッド監督の『父親たちの星条旗』、『硫黄島からの手紙』(公開はどちらも2006年)などの作品が話題となりました。

アニメでは『天元突破グレンラガン』が破天荒なキャラクターたちや怒涛のノリが受けて大ヒット。中川翔子が歌った主題歌『空色デイズ』ともども人気となりました。マンガでは羽海野チカの将棋マンガ『3月のライオン』、人気ラノベのスピンオフ作品『とある科学の超電磁砲』などの連載が、この年から始まっています。

それではこの年に発売されたゲームを見ていきましょう。

Wii Fit
発売日:2007年12月1日
機種:Wii
販売元:任天堂

2007年のゲーム業界は前年末に発売された任天堂の新ハード「Wii」の人気に沸いた1年でした。特にすさまじい人気を誇ったのが『Wiiスポーツ』(任天堂)です。ハードと同時発売されたタイトルですが、2007年になっても勢いは衰え知らずで、この年国内で一番となる販売本数約191万本(※1)を記録するスーパーヒットとなりました。

このWii人気をさらに加速させたのが『Wii Fit』です。ヨガ、筋トレ、有酸素運動などのフィットネスメニューを楽しめるというもので、実際のトレーニングとほぼ同じ動作を行ってプレイすることから運動不足解消のための実用ツールとして大受け。体重やBMI(肥満度の目安を表す数値)などの管理・チェックも可能になっており、ゲームファンのみならず一般層からも絶大な支持を集めました。

専用コントローラーである「バランスWiiボード」の存在も人気を呼んだ大きな要素だったと言えます。体重計の形をした体感型コントローラーで、プレイヤーはその上に乗り、前後左右への体重移動や乗り降りなどの動作を行ってプレイするのですが、これが非常に新鮮で家族などで代わる代わるプレイするとかなり盛り上がったものです。

かくして本作は発売からわずか1カ月で出荷本数100万本超えを達成(※1)。全世界累計出荷本数2,267万本(※2)という驚異的ビッグヒットとなりました。ただ、この「バランスWiiボード」は増産が難しかったようで、発売されるやすぐに売り切れとなり、なかなか手に入れることができませんでした。こうした点もプレイヤーの飢餓感を煽る一因になったと言えるでしょう。

※1:『ファミ通ゲーム白書2008』より
※2:『2019CESAゲーム白書』より

レイトン教授と不思議な町
発売日:2007年2月15日
機種:ニンテンドーDS
販売元:任天堂

ご存知レベルファイブ制作のパズルアドベンチャー『レイトン教授』シリーズの第1作目です。

考古学者のレイトン教授と助手のルーク少年が、大富豪の遺産相続に絡んだ怪事件の謎に挑んでいくというもので、町の住人たちから出題されるナゾを解くことで物語が進んでいきます。いわゆる脳トレ的な思考クイズとミステリーの要素がうまく融合していて、そこが本作の魅力となっていました。

ナゾ解きの要素も非常に秀逸でした。ちょっとしたアタマの体操的な簡単なものから、理詰めで解く必要のある高難度のパズルまで、さまざまなタイプのナゾが満載で歯応えたっぷり。あちこちで手に入る「ヒラメキコイン」を消費することで、ヒントを見ることも可能になっているのですが、ナゾの難度が絶妙で、ついつい自力で解こうと意地になってしまうのです。大泉洋や堀北真希といった豪華声優陣によるアニメーションも見応えがあり、ビッグヒットを記録。同じ年の11月29日に第2弾となる『レイトン教授と悪魔の箱』が発売され、こちらも人気となりました。

ザ エルダースクロールズIV:オブリビオン
発売日:2007年7月26日(Xbox360)、9月27日(プレイステーション3)
機種:Xbox360、プレイステーション3
販売元:スパイク(現スパイク・チュンソフト)

オープンワールドRPGの面白さを世に知らしめた傑作です。海外では2006年に発売され大ヒットを記録。その年のゲーム・オブ・ザ・イヤーを獲得するなどファンの絶大な支持を集め、2007年に日本語版が発売となりました。

細部まで作り込まれた壮大な箱庭的ファンタジー世界、膨大な量を誇る多彩なクエストの数々、豊富なキャラメイキングなど本作の魅力は多岐に渡りますが、一番の見どころはやはり圧倒的なまでの自由度の高さでしょう。

チュートリアルというべき冒頭部のシナリオが終わると、目の前に広大な世界が開けます。そこでは何をしてもよく、どこに行ってもかまわないのです。もちろんメインとなるストーリーはありますが、そこに縛られる必要はなく、自分だけの冒険を自由に繰り広げることができます。さまざまに変わる風景や個性豊かなゲーム世界の住人たちとの出会いも楽しく、その奥の深さと重厚さに驚かされたものです。

これらの要素は今のファンには、どれも当たり前のものに見えるでしょう。しかし、当時の日本のRPGはまだまだストーリーを体験していくタイプの作品がほとんどでした。それだけに本作の与えたインパクトは大きく、日本でも多くのゲーマーたちがハマりました。2000年代を代表する名作のひとつにして、ゲームの歴史に残る1本です。

アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝
発売日:2007年12月6日
機種:プレイステーション3
販売元:SCE(現SIE)

トレジャーハンターのネイトことネイサン・ドレイクが、世界を股にかけて活躍するアクションアドベンチャーの記念すべきシリーズ第1作です。ジャングルや遺跡などを舞台に、次々に襲いくる危機をくぐり抜けていくスピーディな展開はスリリングのひとこと。目もくらむような高所を登ったり、崩れる足場をジャンプしながら進んだりするアクションシーンの数々も楽しく、多くのプレイヤーが引き込まれました。

登場人物たちが織りなすドラマチックなストーリーも見どころのひとつです。ことに主人公のネイトはタフガイながら、どこか抜けたところのあるユーモラスなキャラクターで魅力バツグン。声を担当する東地宏樹さんの軽妙な演技もあって、見ていて楽しいキャラクターになっていました。ネイトとともにさまざまな危機に挑むことになる、女傑のエレナや皮肉屋の相棒サリーなど脇を固めるメンバーも秀逸。これらひと癖もふた癖もあるキャラクターたちのやり取りも非常に面白く、見ていて飽きない内容になっていました

2作目以降に比べて銃撃戦の要素が濃く、戦闘がやや単調に感じるなど、まだこなれていない部分は確かにあります。しかし、画面上に体力などのゲージがなく、ムービーからゲームにシームレスで移行するなどシリーズの魅力の核となる要素は本作の時点ですべて盛り込まれています。今プレイしても十分楽しい、極上のエンタテインメント作品になっていますので、ぜひこの機会にプレイしてみてください。

この年はほかにもさまざまな海外の名作ゲームが発売されています。十字軍の時代を舞台に暗殺者アルタイルの活躍を描いた『アサシン クリード』(UBIソフト)がXbox 360向けに発売(PS3、PC版の発売は2008年)。のちにXboxシリーズの看板タイトルとなったTPS形式のシューティング『GEARS OF WAR』(マイクロソフト)、北米で大ヒットを記録した人気作『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』(カプコン)の日本語版なども話題となりました。

一方、日本国内では携帯ゲーム機が圧倒的人気を誇っており、PSP向けに発売された『モンスターハンターポータブル2nd』(カプコン)がミリオンヒットを記録。翌2008年に発売されたアップグレード版『モンスターハンターポータブル2ndG』はさらなる大ヒットとなり、『モンハン』人気を不動のものとすると同時にPSPをニンテンドーDSに劣らぬ人気機へと押し上げました。

ニンテンドーDSも『ポケモン』と『不思議のダンジョン』がコラボした『ポケモン不思議のダンジョン 時の探検隊・闇の探検隊』(ポケモン)をはじめ『マリオパーティDS』(任天堂)、『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』(スクウェア・エニックス)、『ヨッシーアイランドDS』(任天堂)が出荷本数100万本超えを達成。『逆転裁判4』(カプコン)、『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』(任天堂)なども人気を博し、「DS強し」を印象付ける1年となりました。

そのほか3Dマリオのシリーズ第3弾となる『スーパーマリオギャラクシー』(任天堂)、Wiiリモコンを剣に見立てて戦う『ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔』(スクウェア・エニックス)などがスマッシュヒット。某大型掲示板でネタとなり、さまざまなAAが作られたRPG『オプーナ』(コーエー:現コーエーテクモゲームス)もこの年に発売されています。

いかがだったでしょうか。個人的印象ですが、この頃から国産ゲームのカジュアル志向と海外のゲームの重厚長大化が、さらに目立つようになった気がします。そして海外では、この年に初代iPhoneが登場。いよいよスマートフォン時代の幕が上がることとなります。