大島優子、20代は「試練と壁しかなかった」 30代で迎えた意識の変化

大島優子、20代は「試練と壁しかなかった」 30代で迎えた意識の変化

 31歳となった大島優子が女優として躍動している。NHK連続テレビ小説『スカーレット』での好演が続く中、新年早々、4日より2夜連続(前編・後編)で放送されるフジテレビ開局60周年特別企画ドラマ『教場(きょうじょう)』に出演。警察学校を舞台にした骨太なミステリーで、木村拓哉ふんする冷徹な教官・風間のもとで生き残りをかける生徒・楠本しのぶを演じる。2017年から2018年にかけては約1年間の語学留学をするなど、充実ぶりを見せる大島が、「20代は試練と壁しかなかった」と告白。「パッと開けた」という30代に入ってからの変化を明かした。

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 グループを卒業し、「アイドルではなく、完全に女優という仕事ひとつに絞ってやるという覚悟はしましたが、ではどういった色で、どういった方向で、どんな女優としてやっていけばいいのかがはっきり見えなかった」という大島。「演じるって何だろう、芝居をするってなんだろう」と悩むことに。強くなったもがき。だが、そもそも20代を通じて、自らを見つめ、悩むことを選択してきた。

 「20歳になったときから思っていたんです。“30歳までは修行だ”と。30歳まではとにかく悩んで、苦しい思いをたくさんしながら頑張ろうと。だから、苦しいし大変だという思いは、楽しさでもあったんです。修行がつらければつらいだけ、頑張れば頑張るだけ、30歳になったときに、何かがパッと開けるはずだと」。

 そうして昨年の秋、30歳に。「シンプルに、『よく頑張ったな、よかったな』と感じられて、そこから意識が変わりました。30代はもう楽しむだけです」と笑う。実際、変化が起きているという。

 「お芝居するのが楽しいです。昔は楽しみ方が分からなかった。いい作品や人に出会えている実感はありましたが、“楽しむ”という感覚にはならなかったんですよね。舞台『No.9 -不滅の旋律-』(2015)に出演したときに、共演者の方々から、『芝居で遊んだらいいよ』と言われたんです。でも当時は『演じるってなんだろう』とずっと考えていた時期で、『遊ぶ?』という感じで分からなかったんです。でも、いまはその言葉が分かるようになりました」。

 すっきりした表情を見せる大島。そんな、芝居が楽しくて仕方がないという今、ドラマ『安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~』(2013)で兄妹役だった木村と、『教場』で再共演した。大島演じるしのぶは、元インテリアコーディネーターで姉御肌、勝ち気な性格の女性。前編には、木村と1対1の緊張感MAXのガチンコシーンもある。

 「本当に大変な撮影でしたが、しのぶとして風間教官と魂をぶつけ合わないといけないシーンだったので、最後まで気力を振り絞って演じました。実は木村さんと面と向かってぶつかるお芝居をしたのは初めてだったんです。木村さんが本気でぶつかってきてくれたので、しのぶとして心が動きました」と思い返す。

 風間教場のもと、共に過ごした共演者たちとは、本当の絆が出来ていったとも。

 「警察学校の生徒としての訓練などもそうですが、実際の映像に映るワンショットのためのプロセスが、ものすごく多い作品なんです。それもひとりでの精度をあげつつ、生徒たちみんなでの精度もあげる必要がある。ここまでチームワークがいるというのは、ほかの作品と違いました。前編の完成披露試写会の舞台あいさつで、共演者と再会したんです。そのとき、本当にうれしくて、『同級生に会えた!』という感覚がすごくありました」。

 そして改めて本作を分析。「最初に脚本を読んだとき、すさまじいお仕事になると感じました。風間教官は、余計な説明をしません。今の時代って、感じ取ることがどんどん衰えていっていると思います。目にしたものや入ってきた情報だけで左右されてしまって、考えることをしない。風間教官の教えは、自分自身が咀嚼(そしゃく)する必要がある。今の時代だからこそ、より意味のある作品だと思います」。

 最後に、「(前編から後編にかけて)みんなの絆や、風間教官との関係性が変わっていくので、ラストを見届けるのを、私も楽しみにしています」と目を輝かせた。(取材・文:望月ふみ 写真:松林満美)

 フジテレビ開局60周年特別企画『教場』は、フジテレビ系にて1月4日、5日2夜連続で21時より放送。