『スカーレット』達者な役者同士の夫婦役、演技の評価と裏腹の朝ドラらしくない“生々しさ”

引用元:オリコン
『スカーレット』達者な役者同士の夫婦役、演技の評価と裏腹の朝ドラらしくない“生々しさ”

 戸田恵梨香主演の連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)12月27日放送分で、朝ドラ史上もっとも生々しいと思えるシーンが登場した。それは、寝室において、ヒロイン・喜美子(戸田)の結った髪を夫・八郎(松下洸平)が解くというもの。何ら性的なシーンだったわけではない。しかし、SNSやネット掲示板などではさまざまな声が相次いだのだ。

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■生々しく映る、何気ない動作やごく自然に醸し出される2人の距離の近さ

 それは以下のようなもの。「夫婦のやり取りがなんか生々しい。朝ドラなのでもう少しサラッとカラッと見せてほしい」、「朝からあの寝室のシーンはあまり気分よくない…」「工房でのイチャイチャシーンがなくなったと思ったら…朝からどうなんだろう」。『スカーレット』は、ヒロインの相手役・八郎を演じる松下が登場してからというもの、視聴率、評判ともに上昇していた。派手さはないものの、確かな演技力を持つ八郎に魅かれる視聴者は多く、Twitterでは「八郎沼」なるハッシュタグが作られ、話題になっていた。

 しかし、メインであるヒロイン夫婦・戸田と松下のナチュラルでリアリティある演技がアダとなる部分もあってか、「生々し過ぎる」と感じる人が多いようなのだ。先に「性的なシーンがあったわけではない」と書いたが、むしろそこに生々しさがある。

 子どもの頃のまま、ときどき大きな声を張り上げたり、大声で笑ったりする無邪気さを持ち続ける喜美子が恋をしたときの戸惑いは、愛おしかった。しかも、相手は真面目でおとなしく穏やかで、奥手で不器用に見える八郎である。最初の頃は「喜美子と呼んで」と言われても、「つきおうてもない人のことを気軽に名前では呼べません」と呼び捨てを拒否したり、陶芸をしているところを見学させてほしいと頼まれ、「男女が毎日一緒にいると周囲の誤解を招く」という理由で断ったりする頑なさがあった。また、喜美子に陶芸を教えるとき、力の入れ方を教えるため体に触れるが、手のひらではなく前腕ではさむようにするなどの気の遣い方も見られた。

 にもかかわらず、喜美子に思いを告げられたときには、抑えきれなくなった思いがあふれ出したかのように「抱き寄せてもいいですか」と言う。付き合い始めてからは「キスはいつするんやろ」「僕も男やで」と急にオス感を出してくる。この恋の進展ぶりが具体的なのも、奥手に見える男性が急に男の顔を見せるのも、キスシーンも、生々しい。だが、何より視聴者が生々しく感じるのは、八郎の寝ぐせのついた髪に喜美子が触れるなど、日常生活のなかの何気ない動作、ごく自然に醸し出される2人の距離の近さだろう。