『ラ・ラ・ランド』に『ボヘミアン・ラプソディ』『セッション』も!2010年代を盛り上げた音楽・ミュージカル映画総ざらい

引用元:Movie Walker
『ラ・ラ・ランド』に『ボヘミアン・ラプソディ』『セッション』も!2010年代を盛り上げた音楽・ミュージカル映画総ざらい

人気ミュージカルの映画化やミュージシャンの伝記映画など、音楽をモチーフにした映画が盛り上がった2010年代。応援上映や合唱上映といった多様な鑑賞スタイルの後押しもあったこの10年を振り返ってみよう。

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■ 劇中曲や歌唱シーンが大ブーム!『アナ雪』などミュージカル映画たち

続編が公開中のディズニー・アニメーション『アナと雪の女王』(13)は、劇中曲「Let It Go」が世界中で大ヒットを記録し、キャラクターの心情をダイレクトに伝える歌唱シーンも大きな話題となった。また、本国アメリカで観客が劇中曲をキャラクターと一緒に歌うシング・アロング版が人気を博すと、日本でも特別興行「みんなで歌おう♪歌詞付」版の上映が行われるなど大ブームとなった。

実写映画ではヒュー・ジャックマン主演の『レ・ミゼラブル』(12)が、日本でも幅広い客層とリピーターを獲得しロングランヒットを記録。累計興行収入で55億円を超えるなど、ミュージカル映画として歴代1位にも躍り出た。そのほかでは、『ラ・ラ・ランド』(16)が、ヒロインを演じたエマ・ストーンがアカデミー賞主演女優賞を受賞するなど賞レースをリードし、ヒュー・ジャックマンが再びミュージカルで主演を務めた『グレイテスト・ショーマン』(17)も大ヒット。ディズニーでは、『美女の野獣』(17)や『アラジン』(19)といった名作アニメーションの実写化も人気を集めている。

■ 社会現象となった『ボヘミアン・ラプソディ』など音楽伝記映画

イギリスを代表するロックバンド「クイーン」の成り立ちと、ボーカリスト、フレディ・マーキュリーの半生に迫った『ボヘミアン・ラプソディ』(18)が日本で社会現象に。半年以上のロングランヒットとなり、興行収入は130億円を超え、テレビ番組でもクイーンやフレディの特集が組まれた。また、第72回アカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされ、フレディを演じたラミ・マレックの主演男優賞など最多4冠に輝いている。その授賞式のオープニングでは、クイーンがボーカリストとして歌手のアダム・ランバートを招いてパフォーマンスを行い、「ウィ・ウィル・ロック・ユー」や「伝説のチャンピオン」などを披露したことでも注目を集めた。

本作以外にも、エルトン・ジョンの半生を代表曲と共につづった『ロケットマン』(19)や、60年代に活躍したボーカルグループ「ザ・フォー・シーズンズ」の光と影を名匠クリント・イーストウッドが描いた『ジャージー・ボーイズ』(14)。80年代のイギリスを席巻したロックバンド「ザ・スミス」の結成前を描いた青春映画『イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語』(17)など、映画ファンだけでなく、多くの音楽ファンも映画館へ呼び込んだ。

■ 音楽映画には名作多し?良作、ミニシアター系作品たち

『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼルが本作よりも前に手掛けたのが『セッション』(14)。ジャズドラマーを目指す青年と冷徹な指導者の対立を、まるで格闘技のような緊迫感あふれる演出で描き、第87回アカデミー賞で作品賞をはじめ5部門にノミネートされるなど、批評家・観客の双方から熱い支持を得た。

ミュージシャンから映画監督に転身し、『once ダブリンの街角で』(06)などで知られる音楽映画の旗手ジョン・カーニー。Amazonドラマ「モダン・ラブ ~今日もNYの街角で~」も話題を呼んでいるが、彼の作品も10年代に2本劇場公開された。失意の女性シンガーと落ち目のプロデューサーが音楽で再び立ち上がっていく姿が爽やかに映しだされた『はじまりのうた BEGIN AGAIN』 (13)、閉塞感漂うダブリンの街で少年たちがバンドを結成する成長物語『シング・ストリート 未来へのうた』(15)が、大勢の観客の心を捉えた。

さらに、『ショーン・オブ・ザ・デッド』(04)などのエドガー・ライトによる音楽×カーチェイスの異色作『ベイビー・ドライバー』(17)も忘れてはいけない。アップテンポなヒットソングたちとスピード感抜群の映像、そしてその両者のまさかのシンクロが新たな映画体験を提供してくれた。

2020年の音楽・ミュージカル映画には、ミュージカルの金字塔を映像化した『キャッツ』(1月24日公開)や、ミュージカル女優ジュディ・ガーランドの実話を映画化した『ジュディ 虹の彼方に』(3月6日公開)、ロックバンド「オアシス」の元メンバーで、いまはソロミュージシャンとして活躍するリアム・ギャラガーのドキュメンタリー『リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ(原題)』(2020年公開)に、トニー賞4冠、グラミー賞受賞の傑作ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』の映画化(夏公開)などが控えている。胸躍る音楽やダンス、ミュージシャンの知られざる生き様をこれからもスクリーンで目撃しよう!(Movie Walker・文/トライワークス)