いまや外国人と日本文化との接点に? 和食店で流れる“お琴BGM” 制作の裏側

引用元:オリコン
いまや外国人と日本文化との接点に? 和食店で流れる“お琴BGM” 制作の裏側

 蕎麦屋や和食店、旅館などに立ち寄った際、一度は聴いた経験があるであろう“お琴BGM”。和を感じさせる琴のゆったりとしたテンポで聴こえてくるのは、耳なじみのある大ヒット曲のメロディー。さまざまなヒット曲の“お琴アレンジ”を耳にしたことはあるが、それらをCDや配信で目にする機会はない。では一体この“お琴BGM”は、どこでどうアレンジされ、どう販売(配信?)されているのか?その真相に迫った。

【写真】お琴BGMでいい雰囲気に…NADESHIKO HOTEL SHIBUYA 1 / 2 いまや外国人と日本文化との接点に? 和食店で流れる“お琴BGM” 制作の裏側 写真左/ USEN コンテンツプロデュース統括部 制作部 部長 村田徹氏、写真右/USEN コンテンツプロデュース統括部 制作部 制作1課 野口圭太朗氏 いまや外国人と日本文化との接点に? 和食店で流れる“お琴BGM” 制作の裏側 USEN コンテンツプロデュース統括部 制作部 制作2課 USEN WHITE STUDIO 岩崎健介氏

◆1年70曲制作で今や2000曲以上 各年のヒット曲をカバー

 「歌謡☆ヒットパレード」「洋楽☆ヒットパレード」「R30 Hits」「グループサウンズ」など、ジャンル、年齢、売上などで細かくカテゴライズされた、500以上のチャンネルを持ち、飲食店をはじめさまざまな店舗、オフィスで導入されている有線放送。このチャンネルの1つに、J-POPのさまざまな楽曲を琴の音色にアレンジした楽曲のみを放送する「お琴BGM」がある。USEN-NEXT GROUPのUSENで「お琴BGM」を担当する村田徹氏、野口圭太朗氏、岩崎健介氏がその歴史について話してくれた。

「資料が残っておらず確かではないのですが、USENが事業を始めた1964年頃から『お琴BGM』はあったと聞いています。ただ当時は、今のようにヒット曲をアレンジするのではなく、『春の海』などいわゆるお琴の定番曲を流していたようです」(野口氏)

「その後、今から30~40年くらい前から自社のスタジオで、ヒット歌謡曲をアレンジしたり、琴のオリジナル曲を作ったりということを始めました」(岩崎氏)

「(作り始めたきっかけは)クライアントから『もっとバリエーションを増やしてほしい』『雰囲気を変えたものを出してほしい』などの要望があったからと聞いています。市販のCDではまかないきれない部分があり、『ないものを作る』という文化から、自社のスタジオに琴の演奏者を招き、曲を制作するようになりました」(村田氏)

 ヒット曲を音源のままただ流すだけでなく、和食店や旅館など和の空間にふさわしい音楽を流したい。そんなクライアントのリクエストが、ヒット曲を琴で奏でる“お琴BGM”の原点のようだ。

「30年~40年前の音源は残念ながら確認できなかったのですが、小林幸子さんや竹内まりやさんの曲で、94年くらいのヒット曲の音源はありました。その年のヒット曲のリリース状況にもよるのですが、だいたい、1ヶ月に2曲~6曲くらいのペースで作っています。1年にすると多くて70曲くらい。今、お琴BGMとしては、2000曲以上あります。アーカイブとして今確認できる94年以降のヒット曲はだいたい網羅しています」(岩崎氏)