【記者の目】紅白、勝負カード少なく予想できた“40%割れ”

引用元:スポーツ報知
【記者の目】紅白、勝負カード少なく予想できた“40%割れ”

 昨年大みそかの「第70回NHK紅白歌合戦」(後7時15分)の関東地区の視聴率が1部で34・7%、同9時からの2部で37・3%(ビデオリサーチ調べ、関西地区は1部31・9%、2部36・2%)を記録したことが2日、明らかになった。2部では過去最低の15年の39・2%を下回る歴代最低(1部はワースト6位)。

 歴代最低になるとは思わなかったが、18年のような40%超え(41.5%)は難しいと予想していた。35年ぶりにNHKホールで熱唱したサザンオールスターズがフィナーレを飾り、中継とはいえ米津玄師を引っ張り出し大団円に終わった18年紅白。その時から翌年を危惧する声はあった。

 あらゆるカードを切り成功した前年の反動で、勝負する手札が少なかったともいえる。放送直前まで特別企画の演出の詳細を明かさずに期待感をあおったが、数字には結びつかなかった。

 “低迷”の要因に、東京五輪やラグビーW杯にちなんだ演出の過多や、コントなどの演出を挙げる声もあるが、それが視聴を敬遠する理由ではないだろう。テレビ離れ、好みの多様化もあり、かつては30%超えを連発したドラマも、高視聴率を誇ったプロ野球中継も“数字”を取れずに地上波放送が減っている。

 昨年の視聴率1位はラグビーW杯準々決勝の日本・南アフリカ戦(10月20日、NHK)で41.6%、2位は日本・スコットランド戦(10月13日・日テレ)の39.2%。紅白は3位だ。勝ち進み瞬間風速的に国民的大イベントとなったラグビーW杯と比べ、予定調和ともいえる音楽番組で2時間以上(2部は2時間45分)高視聴率をマークしているのは、まだまだ「紅白」が注目され多くの人々が視聴しているという証しでもある。(放送担当・高柳 義人) 報知新聞社