10万人に1人の難病の俳優・間瀬翔太を春風亭昇太が激励/芸能ショナイ業務話

10万人に1人の難病の俳優・間瀬翔太を春風亭昇太が激励/芸能ショナイ業務話

 大みそかといえば、紅白歌合戦。画面に映し出される華やかなシーンの数々を見ながら自らの1年を回顧し、同時に新年の多幸を祈る瞬間でもある。そしてこの年末、心より祈りを込めたい青年と出会ったことを、令和最初の大みそかのこのコラムに、したためたいと思う。

 「毎晩、寝る前に『どうか、明日も生きていられますように』って手を合わせて、布団に入るんですよ」

 声の主は、10万人に1人の難病「脳動静脈奇形」と闘う、俳優の間瀬翔太さん(33)。人なつっこい好青年から衝撃的な言葉が飛び出し、心臓がギュッとなる思いがした。

 闘病生活は、12月上旬放送のTBS「爆報!THEフライデー」でも紹介。ちょうど番組を見ていたため、間瀬さんの存在と病気について把握したタイミングで、ある会合で出会ったのだ。そして30日に東京・大手町に来社、取材に応じてくれた。

 「テレビ、見てくれていたんですね。ありがとうございます。僕の病気がわかったのは、今夏でした。レコーディングの最中に、壁にぶつかったような激しい頭痛がしたんです。それまでもよく頭痛はしていたんですけれど、かぜだと診断されていました。でもその激痛のときは、一緒にいた仲間の名前がでてこなくなって、自分がいる場所もわからなくなり…。そのまま1カ月の入院でした」

 「脳動静脈奇形」とは先天性の血管奇形で、脳の中で動脈と静脈が直接つながり、塊になる病気。塊が脳を圧迫することが頭痛の原因で、7時間に及ぶ開頭手術で、2つあった塊を除去したという。

 「当然、正常な血管より破れやすいし、次に出血したら、半身まひや、命にかかわることもあるそうです…」

 8月中旬に退院して以降は、リハビリに励む日々。腰には、取材時も赤いタグのヘルプマークを着けていた。「体力や筋力が落ちて、まだ走れないんですよ。口にもまひが残っているので、毎日のウオーキングや話すことが欠かせません。このインタビューも、僕と病気のことを知っていただくきっかけにもなるし、たくさん話すことでリハビリにもなる。いろいろな意味でありがたいです」と話す瞳が、何度となく潤むのが見えた。

 実は間瀬さんに初めて出会った数日後、名前が同じ“しょうた”さんの落語家、春風亭昇太師匠(60)と、もともとのお約束があった。そこで翔太さんとの出会いや闘病の様子をお伝えすると、自らの筆を取り出し、色紙に激励のメッセージを寄せてくださったのだ。

 表には『あかりを灯す』の文字と、ランプの絵。裏には『“しょうた”つながりでよろしくー。落語聞きにきてくださいませ』と、ぬくもりのある言葉が並んだ。

 さらさらと書き終えた昇太師匠は「はい♪ 翔太くんによろしくね。応援してるよ、って伝えてね」。あたたかな師匠のはからいに、私の涙腺は決壊寸前。それを取材時にサプライズで翔太さんに手渡すと、「やばい。泣きそう…」

 やはり“決壊寸前”ながら「『笑点』が大好きで、いつも見ています!!落語を聞くのは初めてなので、楽しみです。いろいろな文化に触れて成長し、情報も発信して同じ病気や重い病で苦しんでいるたくさんの人を助けたいし、昇太師匠にもお話をうかがいたいです」と、日本を代表するお茶の間のスーパースターという援軍に、感謝した。

 12月13日には、初のラブソングとなる新曲「WHITE」をリリース。今後の目標は、5歳から始めた趣味の料理を生かした本の出版だと目を輝かせる。

 「食べることは、健康への第一歩。大病の経験をした自分だからこそ、説得力が出せ、かつSNSにも映える、時代と人の心に寄り添った作品にできたらと思います」

 ブログやツイッターにも自作の料理を掲載。自宅で過ごすことが多いリハビリ中だからこその時間の使い方にも、感心させられた。復活ロードを踏みしめている間瀬さん。輝ける未来がそこに待つ。(山下千穂)

 間瀬翔太(ませ・しょうた) 1986年4月27日、北海道出身。俳優、歌手、元アイドル。17歳の頃に代々木公園でスカウトされ、アイドルグループ「BLIZZARD(ブリザド)」のメインボーカルとしてデビュー。解散後は俳優として「龍が如く6」「愛なき森で叫べ」「妖ばなし」などに出演。2018年は新曲「Butterfly Effect」が、ドラマ「家政婦は見た!」のエンディングテーマに起用された。2019年、芸能人としては初の10万人に1人の病気「脳動静脈奇形」を患い、収入も30分の1に激減。現在はリハビリをしながら芸能活動を再開。趣味は料理。