ビビアン・スー『人面魚』&モフモフ殺人羊&元カレが乗り移ったドローン…<未体験ゾーン2020>注目ホラー

ビビアン・スー『人面魚』&モフモフ殺人羊&元カレが乗り移ったドローン…<未体験ゾーン2020>注目ホラー

 世界には山ほどの映画がある。日本で劇場公開されるのは、それらのほんの一部に過ぎない。『未体験ゾーンの映画たち』は、さまざまな理由から日本公開が見送られてしまう傑作・怪作映画をスクリーンで体験しようというイベント。年々作品本数が増え、今年はなんと全54本!今回はその中から注目ホラーを紹介したい。

【写真】人面魚、殺人羊、呪われた楽譜、殺人ドローン…<未体験ゾーン2020>注目ホラー映画フォトギャラリー

■ビビアン・スー主演『人面魚 THE DEVIL FISH』

 バラエティー番組から誕生した音楽グループ、ブラックビスケッツのメンバーとして日本で人気を博した台湾出身のビビアン・スー。本作は、ビビアンを主演に迎えた本国台湾ホラーの人気作【紅い服の少女】シリーズの第3弾。台湾の民話でもある、人の顔をした呪われた“魚”の恐怖を、圧倒的な視覚効果と演出で描く。2018年の台湾年間興収第4位を記録し、2019年金馬奨ビジュアルエフェクト賞ノミネート、2019年台北映画祭最優秀編集賞を受賞した。

 シングルマザーのヤ―フェイ(ビビアン)の息子ジャハオは、悪魔払いの儀式を秘かに録画しようと忍び込んだ邸宅で、魚の死体から稚魚が出現しているのを見つける。ジャハオはその小さな魚を持ち帰り、自宅の水槽に入れた…。

■モフモフの殺人羊、4000万頭襲来『ブラックシープ』

 2006年に公開され、ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭の最高賞『Golden Raven』を受賞し、日本でもインターネットを中心にホラーファンの間では伝説のカルト的な存在になっていった作品が、13年の時を経て遂に公開。製作国は、羊の数が人間の数を遥かに上回るニュージーランド。大量の血、体の部位、高度な特殊メイク全てに工夫が施された特殊造形には、制作会社ウェタ・ワークショップが『ロード・オブ・リング』3部作や『キング・コング』などの作品を通して開発した膨大な量のスキルやインフラが用いられている。

 子供時代、とある事件や親の死が重なり羊恐怖症に陥ってしまったヘンリーは、実家の牧場を離れていた。15年後、ヘンリーが帰郷すると、牧場ではなにやら羊を使って秘密の遺伝子研究がされていた。その秘密を暴こうと、環境活動家グラントは1頭の狂暴化した子羊を盗み出すのだが、子羊に噛まれたグラントもまた狂暴化してしまい…。

■『ブレードランナー』ルトガー・ハウアー出演のゴシック・ホラー『デビルズ・ソナタ』

 SF映画『ブレードランナー』のレプリカント役で強烈な印象を残し、2019年に75歳でこの世を去った個性派俳優ルトガー・ハウアーが、主人公の父で、謎めいた作曲家を演じ唯一無二の存在感を発揮するゴシック・ホラー。主人公を演じた新星フレイヤ・ティングリーが、美しい顔を歪めて披露するスクリームフェイスにも注目だ。

 父の遺産を整理するため、フランスの田舎町に建つ古めかしい屋敷を訪れたバイオリニストのローズ。そこには父が死ぬ間際に作曲していた楽譜「バイオリンソナタ 作品54」が遺されていた。ところが楽譜には幾つもの謎のシンボルが記されており、やがてローズは屋敷の中で“何か”の存在を感じるようになる。

■『ゾンビーバー』監督最新作は殺人マシーンの恐怖を描く『DRONE/ドローン』

 ビーバーがゾンビ化し大暴れするという斬新なストーリーと、CG時代に逆行するマペットタイプクリーチャーで世界に衝撃と爆笑を与えたジョーダン・ルービン監督の最新作は、なんと元カレの意思が宿ったドローンに襲われる殺人ドローン・ホラー。人類の未来の生活を豊かにするはずのドローンが殺人マシーンになるという、『チャイルド・プレイ』のAI搭載型殺人人形チャッキーをそのままドローンに置き換えただけの大胆設定。もちろん今回も80年代ホラーへのオマージュがたっぷり。

 レイチェルは夫のクリスと幸せな暮らしを送っていたが、ある日、クリスがドローンを拾ってきたことから幸せは一転。ドローンには彼女の昔の恋人がのり移っていたのだ!

 ほかにも、ノルウェー発のホラー『処刑山 ー デッド・スノウ ー』の続編『処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ』や、ジェームズ・ワンが「近年、最も怖くて、泣けるホラー映画!」と絶賛した『スキンウォーカー』、盲目×妊婦VSゾンビの戦いを描く『ブラインデッド』、名優ゲイリー・オールドマン主演『死霊船 メアリー号の呪い』など、気になる作品が目白押し。新年の幕開けに“未体験映画”を存分に味わおう。

 「未体験ゾーンの映画たち2020」は、ヒューマントラストシネマ渋谷にて1月3日より開催。シネ・リーブル梅田にて2月下旬より開催予定。