『スター・ウォーズ』完結編、本国で賛否のワケを分析

『スター・ウォーズ』完結編、本国で賛否のワケを分析

 映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の本国アメリカにおける評論家たちの評価は賛否両論となった。現在、アメリカの映画批評家サイト Rotten Tomatoes でも、評論家から55%の満足度を獲得(観客の支持は86%/12月27日時点)。どんな部分が批判されているのか、各メディアの映画評を比べると、共通する要素が浮かび上がってきた。

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 絶賛派と批判派も、本作の特徴として、シリーズの生みの親であるジョージ・ルーカスのオリジナル作の要素を引き継いでいること、いわゆる旧三部作から登場している人気キャラクターの活躍を挙げていることが多い。ただこの特徴を素晴らしいリスペクトと見るか、ノスタルジーに寄りすぎていると見るかで、評価がまったく逆になってしまっているようだ。ちなみに、多くの批評がカイロ・レン役のアダム・ドライヴァーの演技を絶賛しているのもほぼ共通している。 立場としては、中立と捉えられるBBCのニコラス・バーバー氏は「ルーカスのイマジネーションをもう一度新たにリスペクトさせてくれる」とたたえる一方で「この映画は才能ある人々によって愛情を込めて作られているが、彼らにできたのは、ルーカスが数十年前に描いたものを称賛することだけだった」とチクリと指摘したりもしている。 そして、賛辞と批判を比べると、批判意見の方がインパクトのある言葉を使う傾向がある。The Hollywood Reporter のトッド・マッカーシー氏は「ルーカスの宇宙神話の核にある物語を、次の世代に受け渡す作品」とたたえているが、EW.comのダレン・フラニック氏は「ノスタルジック・フェスティバル」と本作を表現しつつ「映画のフォース・ゴースト版」「最終作でも続編でもリブート作でもリミックスでもなく、ゾンビだ」と強い言葉で締めくくるなど酷評している。これでは酷評の方が印象に残ってしまいそうだ。 もうひとつ、全米での評価を見るときに思い出しておきたいのは、エピソード8にあたる前作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が、アメリカでは批評家筋に評価されたことだ。『スカイウォーカーの夜明け』に対するアメリカの反響は、前回の評価の影響も大きいだろう。再び Rotten Tomatoes の満足度を見ると、『最後のジェダイ』は批評家から91%、観客から43%の支持を得ている(12月27日時点)。批評家の多くは、従来のシリーズの枠にとらわれない物語を絶賛したが、多くのファンは、ルークやジェダイの描き方などを酷評したのだ。

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