日曜夜をドラマ枠として定着させた日本テレビの挑戦と功績

引用元:オリコン
日曜夜をドラマ枠として定着させた日本テレビの挑戦と功績

 今年のドラマシーンは、日本テレビの「挑戦」が目立った1年だった。日曜22時半からの日テレ日曜ドラマ枠では、若い制作スタッフたちが若年層に向けてストレートなメッセージを放った1月期の『3年A組』が大いに話題に。4月期・7月期には『あなたの番です』で、25年ぶりとなる2期連続ドラマに挑戦。これらの立て続けのヒットは、日曜夜をドラマ枠として定着させるきっかけとなった。さらに10月期は、土曜夜ドラマ『俺の話は長い』において、ネット映像視聴世代をターゲットにカスタマイズした30分×2話の1時間ドラマに挑戦し、好評を得た。ドラマの内容において、また「1時間×1クール(3ヶ月)」という固定化した連ドラの枠組みを壊す大胆な試みにおいて、今年もっとも“攻めているドラマ”を連発したのは間違いない。

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■失敗を恐れぬ数々の挑戦の歴史となる日テレ日曜ドラマ枠

 2015年4月期に新設された日テレ日曜ドラマ枠は、当初は「映画ファンも楽しめるエンタテインメント」をコンセプトにスタート。10代をメインとする若い世代に向け、アクション、サスペンス、ミステリーを主にしたエンタテインメント作品を放送してきた。

 例えば、窪田正孝の演技力が注目された『デスノート』(2015年)や、宮藤官九郎脚本でゆとり世代からの支持を得た『ゆとりですがなにか』(2016年)、賛否が渦巻いた『愛してたって、秘密はある。』(2017年)、ジェットコースターのような怒涛の展開を見せた山崎賢人主演の『トドメの接吻』など。ラインナップを改めて見返すと、実に多彩な作風である。

 当初はまだ手探りで、作品の方向性も定まっていなかったが、全般に共通していたのは「世帯視聴率を意識しない、とんがった作風」だったこと。失敗を恐れぬ数々の挑戦は、後に土台が確立するための種まき期間としての意義を持っていた。当時の「視聴率」一辺倒で語られがちだったドラマシーンに、辛抱強く疑問を投げかけ始めた時期だったのではないだろうか。