映画批評家・前田有一氏が厳選 寝正月に外れナシ10本紹介

映画批評家・前田有一氏が厳選 寝正月に外れナシ10本紹介

 物価も上がり、実質賃金が下がりまくっているところへトドメの消費増税と、庶民にとっては受難の年の瀬。ここはあえて寝正月を決め込むのも生活防衛というやつだろう。そんな時に味方になるのが映画DVD。令和元年を代表するハズレなしのセレクション。この10本があればコタツが天国になります。

「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」は、人気ゲームを媒介にした父子の交流と愛を描いた感動の実話ドラマ。

 会社を辞めた父親(吉田鋼太郎)を元気づけるため、父がハマるオンラインゲームに、正体を明かさず参加して近づく息子。ゲーム世界の中でアタフタしている初心者の父親をそれとなくサポートし、やがてネット上の仲間たちも加わりラスボスを目指す。

 その旅の中で父親が抱える苦しみ、葛藤を知り、やがてラストで隠された真実が明らかに。軽妙なタッチだが、息子を持つ父が見たら号泣確実の、意外にも誠実な作りの人間ドラマだ。 映画批評家・前田有一氏が厳選 寝正月に外れナシ10本紹介 アクアマン ブルーレイ&DVD「アクアマン」 ワーナー・ブラザース ホームエンターテインメントAQUAMAN and related characters and elements are trademarks of and (C)DC Comics (C)2018 Warner Bros.Entertainment Inc. All rights reserved. 「アクアマン」は、米中市場を中心にDC映画史上最大のヒットを飛ばしたアメコミヒーロー作。海底人と人間が恋をし、生まれた子であるアクアマンが、地上征服を狙う海底国に立ち向かう。矢継ぎ早に繰り広げる海洋アクションは豪華絢爛。この手にありがちな単純な悪党成敗でなく、主人公が両種族の和解を目指す展開は意外性があるとともに、米中分断の時代を象徴する時代性も感じさせて味わい深い。 映画批評家・前田有一氏が厳選 寝正月に外れナシ10本紹介 DVD『ペガサス』発売・販売:ツイン(C) Shanghai Tingdong Film Co.Ltd.  中国映画の大ヒット作なら「ペガサス/飛馳人生」。落ちぶれたレーサーが幼い息子のため、無謀なレース復帰を目指すドラマ。ベタベタな人情コメディーであり、かつ超本格レース映画である本作は、大衆から絶大な共感を得て、中国では「君の名は。」を軽く超える興収280億円を稼ぎ出した。

 ハン・ハン監督は元レースチャンピオンの異色の経歴を持つため、レースシーンのディテールと見せ方はハリウッド映画よりもうまい。

 日本製アクション映画ならば、不殺の掟を守る休業中の殺し屋を描いた「ザ・ファブル」がいい。南勝久の大人気漫画を岡田准一主演で、映像派の江口カン監督が実写化。原作ファンなら恐るべき再現度の高さで殺し屋を演じた岡田の役作りに、未読者ならばかつてない1人対集団のガンアクション演出に驚かされるはず。格闘家でもある岡田はスタント振り付けも担当、役者離れした体術のキレと銃さばきは、アクション映画マニアでも満足できるレベルだ。

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