山崎貴監督に舘ひろし「悪魔の演出」/石原裕次郎賞

引用元:日刊スポーツ
山崎貴監督に舘ひろし「悪魔の演出」/石原裕次郎賞

<日刊スポーツ映画大賞授賞式:石原裕次郎賞・「アルキメデスの大戦」>◇28日◇ホテルニューオータニ

戦艦大和の建造秘話を題材にした「アルキメデスの大戦」が石原裕次郎賞に輝き、裕次郎夫人の石原まき子さんから賞金300万円が贈られた。

「ALWAYS 三丁目の夕日」以来14年ぶり2度目の同賞受賞となった山崎貴監督(55)は「エンタメ映画を目指していると、たくさんの観客に来ていただけることはあっても賞には縁がない。だからこそ、この賞は格別にうれしい」と笑顔を見せた。まき子夫人は「戦争を知らない世代の山崎監督が、あの時代をリアルに描き、あの悲劇を印象付けることに胸を打たれました」と話す一方、山本五十六役で出演した石原プロの舘ひろし(69)が登壇すると「舘君があそこまで軍服が似合うとは思わなかった。ここに上がるのは2度目だと思うけど、もっとみんなも頑張らなくちゃ」と石原軍団が座るテーブルを向きハッパをかけた。

「あの時代の誤りを繰り返しかねない空気をひたひたと感じている」という山崎監督の思いから、見せ場の会議シーンは、カットを割らない長回しの演出となった。舘が「役者にとっては悪夢のような、悪魔の演出でした。大和建造にまつわる複雑な数式を頭に入れ、それを板書しながら早口で長ぜりふを一気に話した(主演の)菅田将暉君には、もう尊敬しかなかった」と振り返ると、監督は「確かに菅田くんや舘さんにはハンパないプレッシャーだったと思います。完成した映画ではちょっと短くカットしてしまったんですけどね」と文字通り「悪魔」のようににやりと笑った。

紅一点のヒロイン浜辺美波(19)も花束を持って駆けつけ「女性に見てもらいたい作品」。昨年の受賞作「カメラを止めるな」の上田慎一郎監督(35)は表彰盾の授与で「受賞以来、撮影現場で忙しい1年でした。久々にスーツを着てここに立って改めてありがたいと思いました」と話した。【相原斎】