地方局が作るドラマコンテンツの“伸びしろ” 話題作連発のテレビ大阪・岡本Pの狙い

引用元:オリコン
地方局が作るドラマコンテンツの“伸びしろ” 話題作連発のテレビ大阪・岡本Pの狙い

 テレビ東京系6局できょう29日、京都を舞台にしたドラマ『ちょこっと京都に住んでみた。』(前11:25~後0:50)が放送される。このドラマの制作はテレビ大阪。プロデューサーを務める岡本宏毅氏は、テレビ大阪発のドラマで話題作を連発するクリエイターだ。

【写真】『ちょこっと京都に住んでみた。』

 テレビ局の厳しい経営環境が指摘される中、東京のキー局以外でも、コンテンツ制作の重要性が高まっている。特にドラマコンテンツは、放送外収入の“伸びしろ”がほかのコンテンツと比較しても高く、国内だけでなく海外への拡散も期待できる。

 テレビ大阪では、2018年から本格的にドラマ制作に着手。全12話のレギュラードラマとして『グッド・バイ』『面白南極料理人』『焼肉プロレス』『まどろみバーメイド』『抱かれたい12人の女たち』などを制作、放送してきた。この5作品すべてで岡本氏がプロデューサーを務めた。中でも話題となったのが、バーテンダー役の山本耕史を、さまざまな女優が即興で口説き落とすという設定のドラマ『抱かれたい12人の女たち』。最終回には、剛力彩芽が出演。再スタートをかけた新しい挑戦として注目された。

 岡本プロデューサーは、剛力のキャスティングを、以前から思案していた。打診を続けた結果、ドラマ最終回のタイミングで、双方の意思が通じ、出演にこぎつけた。この作品のポイントは、“即興劇”である点。決まったせりふはなく、山本と女優が、アドリブで会話するという革新的なドラマだった。

 剛力が出演した回では、アドリブであるからこそ、彼女自身の“今の素顔”を引き出すことに成功。そこには、ドキュメンタリー的な面白さがあった。岡本プロデューサーが次に手がけた『ちょこっと京都に住んでみた。』でも、このドキュメンタリー要素を盛り込んだという。

 同ドラマは、1000年の時間の積み重ねが、町の隅々まで行き渡っている京都が舞台。テレビ東京系列ドラマ初出演となる木村文乃と、生粋の京都人である近藤正臣が共演。人間関係のストレスで仕事をやめた主人公の江東佳奈(木村)が、 京都の町家に住む大伯父の大賀茂(近藤)の面倒を数日間見ることに。東京から出たことのなかった佳奈が、人や物に執着のない大伯父の日々のお使いを通じ、住んでみないと見えてこない京都の姿、 新しい場所や人と出会う中で次第に心がほぐれていく。

 大阪で生まれ育った岡本プロデューサーは、兵庫県の大学を卒業後、テレビ大阪へ入社したため、実は、京都には住んだことがない。入社以来、ほぼ制作一筋で、笑福亭鶴瓶と松嶋尚美出演のトークバラエティー『きらきらアフロ』や故やしきたかじんさんの『たかじんNOマネー』など、 数多くの人気番組を手掛けてきた。京都についてはこれまでも、情報系番組やバラエティー番組などで、さまざまな角度から発信してきた。ただ、だからこそ「京都の本当の素晴らしさは住んでみないとわからないのではないか…」と、語る。

 そこで、決まった台本だけではない、アドリブのよさを生かすことに。それは、主演の木村文乃が、京都の人々と語り合うシーンに生かされている。この部分の撮影は、基本的に台本なしで進行した。ドラマの役柄ではなく、木村自身の“素の笑顔”、 “素直なコメント”を随所で垣間見ることができる。だからこそ、どこかほっこりとして懐かしく、でも誰も見たことのない京都の奥の奥を演出する作品に仕上がった。