ヨーロッパ企画・大歳倫弘「サブカルに反比例して力を増すのは…」

引用元:チケットぴあ
ヨーロッパ企画・大歳倫弘「サブカルに反比例して力を増すのは…」

「ヨーロッパ企画」の大歳倫弘が主宰する「イエティ」の最新作『スーパードンキーヤングDX』が2020年1月から2月に上演される。作・演出の大歳に話を聞いた。

本作は、2011年に上演された作品『ドンキーヤング』の続編+初演。「『ドンキーヤング』は、ヤンキーがドン・キホーテと間違えてヴィレッジヴァンガードに入り、サブカルに目覚めていくという話だったのですが、今回はその9年後の2020年の世界を描きます。ただ初演は多くの方に観て頂けているわけではないので、両方合わせて2時間弱でみせられたらと思い、このカタチにしました」。

『ドンキーヤング』の続編をつくることにしたのは、「ヨーロッパ企画で『サマータイムマシン・ブルース』の続編をやったり、自分が演出した舞台「ナナマルサンバツ」で続編をつくったり、なんか僕の中で続編ブームがきて(笑)。そこにやりがいを感じ、この作品ならできそうだと思いました。それと、初演でもヤンキーを演じた中川晴樹が9年前、“これだったらもう1回やっていいよ”って言ったんですよ!本人は絶対否定しますけど。クールぶってる男なので。そういうこともあって、やってみようかなって」。

今作で描くのは、“サブカルヤンキー”の今。「今は当時に比べるとサブカルの勢いが少し弱まっているなと感じていて。そういうとき、サブカルヤンキーはどうするんだろうと思ったんですよね。彼はあの後、怪我をして、目が覚めたら2020年だったという設定で、当時ヤンキーだった奥さんにも大きな変化もある。それで、この10年の間になにがあったんだと掘り起こしていく、ロードムービー的なお話になる予定です」。

当時は「サブカルの知識でマウント取り合ってる感じをヤンキーにブッ飛ばしてほしい気持ちで書いたところもあった」という大歳。「でも10年経って、そういうものがなくなったことを寂しく感じるようになってきて。そういうものがあったんだよと伝えたい気持ちもありますし、最近はサブカルの方々のこの10年の苦労が語られるようになり、なぜそこまで苦労しなきゃいけないのかとか…」と語り、そのうえで「サブカルが衰退するのと反比例して某・暮らし系ショップがどんどん力を増しているんですよ。そこを掘りたい!」と大歳ならではの切り口が楽しめそう。

「初演でヤンキーが「音楽なんてケータイで聴くもの」と言って笑われるようなシーンがあるのですが、当時と今では見え方も違うと思います。そういう部分も楽しみです」という本作は、2020年1月22日(水)から26日(日)まで東京・小劇場B1、1月30日(木)から2月3日(月)まで兵庫・AI・HALLにて上演。

チケットは一般発売中。

取材・文:中川實穗