80年代、NYで「アンチ日本人」の風に吹かれて… サニー齋藤の日付変更線の向こう側

引用元:夕刊フジ

 【サニー齋藤の日付変更線の向こう側】

 人気海外ドラマ「SWAT」「HAWAII FIVE-O」などに出演する日本人俳優、サニー斎藤(55)は250年の歴史を持つクリスティーズ社の不動産部の日本代表の顔も持つ。世界を股にかけて活躍する彼が見たアメリカの素顔を紹介する。

 今の地球の人口は過去に死んでいった人口より多いという。人間が約2000年をかけて人口が1億人を達した後、たった200年で約77億人まで増え、この青いプラネットでゴチャゴチャ、ガミガミ言い合いながら時を刻んでいる。この200年の人口バブルについての専門家は少ないが、日本経済がバブルを迎えた1980年代を覚えている方は多いと思う。

 私はちょうど大学を卒業してNYの外資系金融機関で働き始めていた。トヨタや日産、ホンダと自動車産業がミシガン州やオハイオ州、ケンタッキー州と進出し、為替は1ドル=120円まで上がった。ニューヨークのロックフェラー・センタービル、名門ゴルフクラブのペブルビーチ、「プリティー・ウーマン」で有名なビバリーウィルシャーホテルまでも買収の噂となり、松下電器がユニバーサルを、ソニーがコロンビア・ピクチャーズを高額で買収し「日本人の爆買い」をアメリカ社会に印象付けた。

 ニュースでは日本車を大型ハンマーで打ち壊すジャパン・バッシングのデモが放映され、アメリカ人の友人からは、「日本人はなぜ値段を気にしないの?」「日本人はなぜマナーを知らない人ばかりなの?」とアンチ日本人の風が吹いていた。

 先週、ロスと東京の撮影で一緒になった65歳のベテラン俳優、P氏が初来日し、中国人の多さにビックリしていた。

 「80年にアメリカに来ていたジャパニーズみたいだな」というP氏の言葉に、私も思わず「なるほど」とうなずいた。

 さて「撮影」という言葉で読者も戸惑っただろうから、ここで簡単に自己紹介。5歳で日本を出て、香港とアメリカで育ち、大学卒業後外資系金融機関およびファンドで働くも32歳で退社。

 今は役者として活動する一方、3年前に250年の歴史を持つクリスティーズ社の高級不動産部の日本代表として50年ぶりに日本に基盤を持ったばかり。“二足のわらじ”ならぬ“ワラジとスニーカー”といったところです。

 ■サニー齋藤(さにー・さいとう) 本名・齋藤聖一。1964年10月6日生まれ、55歳。東京生まれ。学生時代を香港、アメリカで過ごす。大学卒業後、メリルリンチ証券、ドレクセル・バーナム証券を経て、クリスティーズ社の日本不動産部門社長に就任。また、俳優としても海外ドラマ「SWAT」、「HAWAII FIVE-O」、「WESTWORLD」などに出演している。12月24日発売の「GOETHE」(幻冬舎)の「相思相愛」コーナーに登場する。