メッタ刺しにSMショー…史上最○な結婚披露宴がスタート

【ダンカンの笑撃回顧録】#17

 かくして、芸能史上最〇な結婚披露宴はスタートしたのだった。といっても、新郎新婦は実は大忙しでゆっくり披露宴を楽しんでいられないものと、その時知ったのだ。

 なにしろお色直しだけでもマリリン(新妻・初美)は白無垢、赤い着物、純白にグリーンのウエディングドレスと4着なので3回、俺も黒の羽織袴に白のスリーピース、そして忠臣蔵の浅野内匠頭と同じ、長過ぎてまともには歩けない長袴の3ポーズの2回と大汗タラタラであったのだ。

 長袴に至っては普通でも歩きがたいことこの上ないのに、軍団がもれなく袴の引きずるところを踏むもんだから、その都度ドタン、バタンと一向に進まない始末……。

 そんな状況の中でもインパクトのあるものは30年の歳月が流れようが鮮明に記憶しているもので、1つは媒酌人をTBSの部長・○邦彦氏ご夫妻にお願いしていて、たいがい媒酌人といえば、新郎新婦の人となりなどを紹介するものなのに、マイク片手に席を立つやいなや(てか、その時すでに酔っていた)、「どうも媒酌人を仰せつかったTBSの○です。ダンカンさん、初美さん、本日はオメデトウ!! じゃまず一曲」と、アメリカのカントリーの代表曲「ジャンバラヤ」をたっぷりと歌い上げてしまった(会場は大拍手。オイオイ!!)。

 それに続き、「ではここで新郎新婦によります最初の共同作業、ウエディングケーキへの入刀となります」と俺の身長をはるかに超えるケーキが慎重に運ばれてきた、まさにその時、ブリーフ一枚の深川の通り魔、川俣軍司のグレート義太夫が突然現れて包丁を振り回したと思ったらグサッ! グサッ!! と、こともあろうに神聖なウエディングケーキをメッタ刺ししやがったのだ(クソ~、会場も爆笑しやがって!)。

 そんな中で、何を隠そう、マリリンは幼き頃より日舞をやっていて二十歳の頃にはすでに名取で尾上菊美保という名前を持ち、国立劇場で踊った経験があるのだった。新婦側の余興はあでやかな日本舞踊で、それは会場内を大きな拍手で沸かせたのだった。

 さて、それに続く我が軍団、浅草キッドの水道橋博士と玉袋筋太郎による……グエ~ッ!! 片手にムチとロウソクを持った水道橋博士が完璧にSMの女王様になり、マゾ男の玉袋を踏みつけているじゃない!! 題して「お祝いSMショー」って! そんなのいるか!!

「おまえらいい加減にしろ!!」

 そーだそーだ、その制止の声が欲しかったと思ったら、チン〇に筒だけのタカちゃんが筒の下からキン〇をプラプラさせながら、制止どころか「えーい! こうしてくれるわ白ブタが、ピシャーン!!」と、ムチで玉袋を攻めてるじゃないの……これにも会場大拍手(オーイ! 日本舞踊と同じレベルじゃねーだろう!)、そして、ふと横に座る新婦のマリリンに目をやったら、「アハハ!」とこっちも大笑いしていた。「ウン、この人とならずっと一緒に生きていける!」と確信した瞬間だった。

 ただし、担当した東京プリンスのマネジャーが地方に飛ばされるとは、その時はまだ知る由もなかったのだった……。 (つづく)

(ダンカン/お笑いタレント・俳優・放送作家・脚本家)