高橋颯、『デスノート』L役のチャンスに「どうしても勝ち取りたかった」

高橋颯、『デスノート』L役のチャンスに「どうしても勝ち取りたかった」

原作・大場つぐみ、作画・小畑健による大ヒット漫画『DEATH NOTE』。書き込むと人が死ぬ「デスノート」を手にした高校生の夜神月が「新世界の神になる」と宣言、犯罪者を抹殺して理想の世界を作り上げようとするが、世界一の名探偵・L
が立ちはだかり、死神たちも巻き込んだ頭脳戦が展開されていく。

【写真】『デスノート THE CONCERT』で熱唱する浦井健治

映画化、ドラマ化もされた同作は2015年に『デスノート THE MUSICAL』として世界初上演された。『ジキル&ハイド』のフランク・ワイルドホーンが音楽、栗山民也が演出を担当するといった日米クリエイターが集結し、浦井健治、柿澤勇人が月、小池徹平がLを演じ大きな評価を得た同作。2019年に新生『デスミュ』上演と新キャストが発表されると、こちらも大きな話題を呼んだ。今回はL役として本格ミュージカルに初挑戦となる高橋颯(高ははしごだか)にインタビューし、同作への意気込みを聞いた。

■ライブからオーディションにつながる

――新たな『デスノート THE MUSICAL』が上演されると聞いた時は驚きました。ぜひ、L役に決まった経緯と、その時の心境を教えてうださい。

プロデューサーさんが僕のライブに来てくださって、歌い方や声色、佇まいがLっぽいということで目にとめて、候補として声をかけていただいたんです。楽曲の審査とセリフの審査があったんですけど、僕はどうしても勝ち取りたくて。もともと『デスノート』は映画とドラマを見ていて好きだったんですが、お声がけいただいたのをきっかけに、改めてアニメも見直しました。「いろいろなLがいるな」と思ったので、それぞれの色を吸収しつつ、自分なりのLを出そうと思って、勝負して挑みました。結果、最終的に出演させていただくことになったので、本当に嬉しかったです。

――話をもらった時から、チャンスだというお気持ちで挑んでいたんですね。

僕は元々、映画『デスノート』で松山ケンイチさんの演じてたLが大好きでした。公開は2006年で、僕自身は8歳だったんですけど、子供ながらにその存在感にすごく惹かれました。だから家でも、例えばカップを掴む時にずっとモノマネをしているくらい好きだったんです(笑)。

――憧れだったんですね。周囲の反応はどうでしたか?

衝撃が大きかったと思います。友達も「本当に!? あのL!?」という反応でしたし、「たしかに、あのLを僕が演じるんだ」と、改めて実感しました。日本でも世界でも本当に愛されてる作品だと思いました。

――松山さんは同じ事務所の先輩でもありますが、会う機会などはあったんですか?

まだなのですが、お会いしたいです! L役の方、みなさんにお会いしたいです。小池徹平さん、山口勝平さん、山崎賢人さん、皆さん憧れです。

――前回の『デスミュ』を受け継ぎたい部分、逆に自分はこうしたいという部分はありますか?

小池さんのLには、原作のLの持つ異様な気持ち悪さがあると思っているので、取り入れたいです。でも、同じミュージカルのLを研究しすぎると似てしまって、リニューアルする意味がなくなってしまうのではないかと思うので、あまり見過ぎないようにはしています。

ただ、松山さんのようなLを演じてみようとして、自分では松山さんを意識しているつもりでも、全然違う要素が加わっているんです。さらに山崎賢人さんのLを参考にしても、また違ったLになっていたりします。他の方のLをイメージして演技してみても、自分が演じることでまた別のLができあがる。それが個性だということがわかったので、試行錯誤を繰り返しながらやっています。

僕が演じるのは「高橋颯のL」じゃないといけないけど、高橋颯の要素が勝ちすぎると原作のファンの方が悲しんでしまう。僕自身がもともとLのファンだからこそ、その気持ちはわかるので、大事にしたいんです。

――その研究の成果を稽古ですり合わせていくんですね。演技自体としても、これから本格的に行っていくということですが。

L役が決まったときには、演技の経験は皆無でした。ミュージカルでいうと本当に初めての経験なので、未知数です。でも歌という点で言えば、シンガーの経験があることで、歌稽古では「君はLの役だから、いつも通りの歌い方でいいよ。ミュージカルの歌い方が、まずLに合っていないよね」「いつも通りの感じで歌ってみて」とおっしゃっていただいたんです。シンガーとしての経験も生かしつつ、ミュージカルとしての歌でしっかり見せていきたいと思っています。

――Lのアーティストっぽいところを大事にしたいから、ミュージカル俳優ではない人から選んでる、という話も聞きました。

今はまだ試行錯誤ですけど、トレーニング次第で、発声はしっかりしているけど声は軽く使えるとか、上手だけど楽々歌っていうように聞こえるとか、練習した先に両方できる瞬間が来るのかなと思っているので、ボイトレをしながら頑張っています。

――月役の村井良大さん、甲斐翔真さんのことはどう意識されているんですか?

月役のお二人とは、仲良くなりすぎると、僕としては月とLとしてのお芝居に支障が出るのかもしれない、と少し思いました。もちろんカンパニーとしてまとまるのは大事なことだと思うのですが、たとえば芝居の直前まで楽しくおしゃべりしていると、その後の演技に入り込めなくなってしまうかも、と悩み中です。特にLは協調性のない役で、1人の世界で生きているから、すごく難しいです。甲斐くんとのMV撮影のときもほとんどしゃべっていないです。でも、本当は1回、役関係なく遊びに行きたいと思っています。

――本番で演じるのを楽しみにしているシーンはありますか?

この作品の醍醐味でもある、テニスのシーンが楽しみです。シーンが終わった後がいいんですよね。Lが月に対して友情の感情が芽生えるシーンでもあって。

――高橋さんご自身は、今後どういう存在になりたいと思っていますか?

Lといえば高橋颯、と言われる存在になれたらと思います。初演、再演とヒットして、これから続いていくのかは、今回の2020年の新生デスミュにかかってると思うので、すごく大事に思っています。

■『デスノート THE MUSICAL』

期間:2020年1月20日~2月9日

場所:東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)

キャスト:村井良大 甲斐翔真 高橋颯 / 吉柳咲良 西田ひらり / パク・ヘナ 横田栄司 今井清隆

■高橋颯

1998年5月8日生まれ、埼玉県出身。2018年9月よりソロ活動を本格的にスタート。11月7日に1st EP『WHITE』をリリース。iTunes総合アルバムチャートで4位を獲得する。2019年3月20日には2nd EP『STEP』をリリース。リリース後は、MACOツアー『交換日記 + BEST LOVE MACO TOUR 2019』にオープニングアクトとして出演した。2019年11月にホリプロ初の男性ダンスボーカルグループ「WATWING」として活動することを発表。2020年のデビューに向け、5人のメンバーと共に日々過酷なトレーニングを積んでいる。2019年10月に初舞台『部屋と僕と弟のハナシ』に出演し、俳優としての活動も本格的に開始している。 佐々木なつみ