審査員で振り返る令和初の『M-1』 今年も上沼恵美子“劇場”健在&松本人志がうなる「過去最高って言っても…」

引用元:オリコン
審査員で振り返る令和初の『M-1』 今年も上沼恵美子“劇場”健在&松本人志がうなる「過去最高って言っても…」

 “令和”初の漫才日本一を決める『M-1グランプリ2019』(ABC・テレビ朝日系)が22日に生放送され、駒場孝(33)、内海崇(34)からなる2007年結成のお笑いコンビ・ミルクボーイが優勝し、15代目王者に決定。5040組の頂点に立ち、賞金1000万円を獲得した。芸人たちのハイレベルな戦いもさることながら、審査員たちの評価と言動も見どころのひとつ。史上初の2年連続同じ顔ぶれでの審査員となったが、オール巨人、松本人志、上沼恵美子、中川家・礼二、富澤たけし、立川志らく、塙宣之の7人から『M-1』を振り返ってみたい。

【写真】司会を務めた上戸彩

 今回、審査員の去就で一番注目を集めていたのは上沼と松本。カンテレ『快傑えみちゃんねる』では、昨年『M-1』決勝直後の上沼への暴言騒動が話題となり、上沼自身が「紅一点っていうのはしんどいよね。審査員を審査しよるもの。いろんなこと言われるから。島田紳助さんに来てくれって言われて断れなかったんですよ。義理でね」と率直な思いを吐露すると、松本は「はっきり言うときますけど、僕は上沼さんが(M-1の審査員を)やめたら、やめますからね」と断言。上沼が「それは脅迫ですね」と笑顔で切り返すと、松本は「自分より先輩で尊敬できる人がいないと、自分が上に立つものではないですし」と真面目なトーンで語っていた。

 こうした経緯があることから、この日の番組冒頭でMCの今田耕司が「今年も来ていただいてありがとうございます」と向けると、上沼は「ありがとうございます。本当に。きょうは真剣に、だって将来が決まるわけですから。それを私たちが選んでいるわけですから、いらんこと言うなよ。頑張ります」と先制ジャブをしっかりと放った。1組目のニューヨークの漫才が終わった後も、上沼の勢いは止まらず「歌だけで引っ張っていくってすごいことだなと。あら、こんなところにこんなものが…」と笑顔で自身の新曲をちゃっかりアピールし、最初からさながら独壇場となった。

 ニューヨークの漫才への評価では、松本が「なんかねー僕の好みなんでしょうけど、ツッコミが笑いながら…僕はあんまり好きじゃないんですよ。僕は好み的にもっとツッコミが怒っているのが好きなんですよ。もうちょっと緊張感を出してほしいな」と見解を述べたことで、2人があからさまに肩を落とすという展開も。2組目のかまいたちの出番後には、山内健司から「志らくさんは降りてほしい」と“口撃”されていた志らくが「私、生放送で『15点つけてやるからな』と言っていたんですけど、参りました」とうなるなど、審査員の続投がもたらしたやりとりもあった。

 3組目の和牛には、塙が「また新しいネタを見させていただいて、毎年進化しているというか。型がない。いろんなことを毎年やるっていうのが、和牛の魅力なので。和牛とかまいたちがちょっとすごすぎるので、ほかの出演者が大変」とこぼすと、巨人が「後半がグッと盛り上がって。最後にちゃんと持っていって、うまいこといって、安心感がありましたね。川西賢志郎くんの普段のツッコミよりもボキャブラリーが少ない」と期待の高さゆえに注文をつける一幕も。

 新たな漫才の形に挑戦したすゑひろがりずには、上沼が「なんかね、こういうの初めて。お年いくつですの? やっていることは60(歳)過ぎ(笑)。完成されすぎて『M-1』の漫才じゃないので。92点でよかったのか、もっと上なんですよ。でも形が違うからね」と複雑な胸の内を吐露。続けて登場したからし蓮根には、一転して絶賛し、さらに例年話題になっている“愛のムチ”が意外な形で姿を現した。

 「ファンです。初々しいね。和牛には悪いんだけど、去年もその前も私は和牛に入れました。でも、なんかそういう横柄な感じが和牛に対してしました。このステージは僕のもの、緊張感も何もない、ぞんざいなものを感じました。でも、からし蓮根には初々しいものを感じました。本当に笑っちゃったし、フレッシュだし、てっぺんを取ったろうっていう気持ちがギュッと伝わってきて、私は大ファンよ。頑張れ! (チャンピオンを取りにいく感じが)いいの。それが『M-1』じゃないの? いいぞ! 頑張れ!」

 台風の目となったミルクボーイ、ぺこぱのネタに対しては審査員から好意的な意見が寄せられた。ミルクボーイに対しては、富澤が「おじさんが、コーンフレークだコーンフレークじゃないっていうので笑えるのが一番よかった」、ぺこぱに対しては松本が「松本も「これは、ノリツッコまない。新しいところ持ってきましたね。和牛敗れるっていう、衝撃的なところを見ましたね」と感慨深げに語った。

 ファイナルステージに進む前に、上沼がふとつぶやいた。「今年面白いです。すごいです。初めて拝見するコンビばっかりなので、今年は面白いですね。こんな上手な人ばっかり。久しぶりに興奮しています」。ミルクボーイが優勝に輝いた直後、上沼は手で涙を拭う仕草をしながら「感動しました。本当に、ちょっと泣いているんだけど」と呼びかけ、松本も「過去最高って言ってもいいのかもしれないですね。数年前だったら、誰が出ても優勝していたっていう」と口にした。令和初で15回目という節目の年を迎え、多種多様な漫才師が登場した今回、審査員の評価軸も難しかっただろうが、7人もジャッジとコメントで存在感を発揮していた。