市川右近、3歳の時から大ファン「ひつじのショーン」スペシャルサポーター就任 人間の言葉なしの表現に「歌舞伎と重なる」  

引用元:スポーツ報知
市川右近、3歳の時から大ファン「ひつじのショーン」スペシャルサポーター就任 人間の言葉なしの表現に「歌舞伎と重なる」  

 歌舞伎俳優の市川右近(9)がスペシャルサポーターを務めるクレイ・アニメーション映画「ひつじのショーン UFOフィーバー!」(リチャード・フェラン、ウィル・ベッカー監督)が、このほど公開された。幼少の頃から「ひつじのショーン」シリーズのファンである右近は「歌舞伎と重なるところがある」と熱弁し、魅力を語った。(増田 寛)

 「ひつじのショーン」シリーズは、2007年に放送がスタートした英国のストップモーション・アニメーション作品。7分のショートアニメで、静止している粘土細工の人形を1コマごと少しずつ動かしてカメラで撮影し、パラパラ漫画の要領でキャラクターが連続して動いているかのように見せている。

 「―UFOフィーバー!」では、シーンを1秒進めるのに24コマ、1分間で1440コマ。上映時間は86分となっているため、コマ数は12万コマ以上費やしたことになる。120人いる製作スタッフをしても、4年もの歳月をかけている。作品を取り仕切る監督は、製作中1日10キロもスタジオを歩き回ったこともあるという。

 この壮大なプロジェクトに、右近は「僕はまだ9歳なのに、この映画には僕の人生の約半分が費やされている。気の遠くなるような作業をずっと続けてこられたのはすごいです」と脱帽する。

 右近が「ひつじのショーン」シリーズにハマったのは幼稚園に入るより前。「3歳の時から大好きになったと思います。録画したのを見ていました。本当にいつの間にかファンになっていました」

 映画の見どころは「一番好きなキャラクター」と推す主人公・ショーンのドタバタコメディー劇だと語る。

 「ショーンのイタズラ好きなところが魅力。この映画でも、宇宙人のルーラと町のスーパーで大暴れするシーンが大好きです。イタズラ好きなところが僕と似ているのかも…。でも映画みたいな悪さはしないです!」

 「ひつじのショーン」シリーズは言語化されたセリフがないのも特徴の一つ。まるで人間をほうふつとさせる独特の表情や、キャラクターの動きで気持ちを伝え、見る人を物語に引き込んでいく。「セリフが人間の言葉ではないのに、面白さやストーリーがちゃんと伝わるのはすごい」と感嘆しつつも、この表現方法は「歌舞伎と重なるところがある」と右近は指摘する。

 「義太夫さんが状況を説明することもありますが、歌舞伎は舞や所作、見得、足の踏みだけで役を表現したりします。言葉がなくても、見ているだけで物語や役の気持ちが伝わるところは、『ひつじのショーン』も歌舞伎も同じだと思います」

 その他にも「歌舞伎では(動物の役が)人間みたいに(二足歩行に)なることがある。ショーンも人みたいに立って歩いたりします。そこも同じだと思います」と別の共通点も挙げた。

 右近は、2020年3月10日から「伝統芸能 華の舞」(~25日、全国17公演)の福岡・大濠公園能楽堂公演が控えている。ラグビーワールドカップの開幕式で話題になった「連獅子」を、父で歌舞伎俳優の市川右團次(56)と披露する。

 「ひつじのショーン」と歌舞伎、どっちが好きなのか聞いてみると、「うーん…、どっちも好きだけど…」とうなったが、最後はキッパリと「やっぱり歌舞伎が好き!」。

 ◆ウィル・ベッカー監督「ついに『ひつじのショーン』がまた映画のスクリーンに戻ってきました。今回はSFアドベンチャーになっています。新キャラ・ルーラも登場して、いろいろな出来事が劇中で起こりますが、実はエンドロールの後にもちょっとおまけがあるので、ぜひ最後まで残って見ていただけたらうれしいです」

 ◆ひつじのショーン UFOフィーバー! シリーズでは2作目となる長編劇場版。イギリスの片田舎の牧場で仲間たちとのんびり暮らす羊の主人公・ショーンの町に、ある日突然、UFOがやって来る。そのUFOには、物を浮遊させる超能力を持った、ルーラという名の女の子宇宙人が乗っていた。ひょんなことから牧場に迷い込んだルーラは、ショーンたちと仲良しになるが…。

 ◆市川 右近(いちかわ・うこん)2010年4月18日、東京都生まれ。9歳。16年に「義経千本桜」安徳帝で初お目見えし、17年2代目市川右近を襲名し、「雙生隅田川」の梅若丸、松若丸で右近として初舞台。19年にはTBS系日曜劇場「ノーサイド・ゲーム」で君嶋博人役として出演。20年3月には歌舞伎舞踏公演「伝統芸能 華の舞」「連獅子」で、父の市川右團次と親子共演を控えている。 報知新聞社