本気のテレビ朝日、eスポーツの未来を開拓中「eスポーツのイメージを変え、国内に文化を作る」

引用元:オリコン

 2019年夏、テレビ朝日はCyberZとavex entertainmentが展開してきた国内最大級のeスポーツブランド『RAGE』への参画を宣言した。さらに11月にはeスポーツ仕様のスポーツニュース番組『ReAL eSports News』を月イチレギュラー番組としてスタート。また本格的なスポーツ中継と同様の「eスポーツ中継」にもチャレンジするなど、一気にeスポーツへの取り組みを本格化させている。なぜこのタイミングでテレビ朝日がeスポーツ業界へ参入するのか。eスポーツ事業推進プロジェクトリーダーである石田要氏と、フィギュアスケートなど多くのスポーツ番組制作に携わってきたプロデューサー宇喜多宏美氏に、そのねらいや背景などをうかがった。

【写真】『ReAL eSports News』のキャスターを務める並木万里菜アナ

■あくまでも「スポーツ」として捉え、eスポーツを見せていく

 多種多様なビデオゲームでの対戦をスポーツ競技として楽しむ「eスポーツ」。欧米やアジア諸国ではすでに大きな人気のカルチャーとして定着しており、日本でも2018年の日本eスポーツ連合(JeSU)発足をきっかけに、大手芸能事務所や一般企業、既存のプロスポーツチームなども続々と参加し、盛り上がりを見せている。一方で、プレイされるゲームになじみのない層からは、なかなかとっつきにくい世界という声もある。テレビ朝日の参入は、eスポーツがいよいよ本格的な一般化フェイズに突入しつつある証なのだろうか。

「実はテレビ朝日はJeSU正会員でもあり、比較的早い段階から、eスポーツの備えるポテンシャルには注目してきました。テレビ離れが喧伝される若年層への強い訴求力を持ったコンテンツであり、多くのスポンサー様にとっても魅力的だと感じて頂けると思います。具体的にどのような関わり方でeスポーツに取り組むかについて、昨年春頃からAbemaTV関連でご一緒することも多いCyberZさんなどにも相談しながら、その内容やタイミングを検討してきました」(石田要氏)

「ひとつのきっかけは去年『お願い!ランキング』で展開した、お願い!eSportsファイターという『ストリートファイターリーグ』との連動企画です。そこでは番組演出や視聴者のリアクションなど学ぶべき点や気づきも多く、今回の独立したレギュラー番組の成立につながっています」(宇喜多宏美氏)

「私たちの取り組みの最大の特徴は、eスポーツをゲーム軸ではなく、あくまでも『スポーツ』として捉え、見せていくということ。テレビ朝日には、野球やサッカーコンテンツをはじめ、フィギュアスケートGPシリーズ、ゴルフの全英/全米オープン、世界水泳など、多様なスポーツイベントの放送にこれまで膨大な実績と経験があります。それらの知見を活用しながら、スポーツとしての感動や熱気を伝える番組づくりができるはずだと考えています」(石田氏)