NHK・Eテレに対抗 テレ東の赤ちゃん番組「シナぷしゅ」は成功するか

NHK・Eテレに対抗 テレ東の赤ちゃん番組「シナぷしゅ」は成功するか

 テレビ東京がNHK・Eテレの牙城を崩そうとしている。16~20日朝に0~2歳児向け赤ちゃん番組「シナぷしゅ」を放送。来年4月のレギュラー化を目指している。

 これまで、0~2歳児を対象とする赤ちゃん番組といえば、1996年にスタートしたNHK・Eテレの「いないいないばあっ!」の独壇場だったが、テレ東はここに切り込もうとしている。大ヒット絵本「もいもい」「うるしー」などを手掛けた東京大学「赤ちゃんラボ」が番組を監修。スローテンポの童謡をスピードアップさせたり、映像の逆回しといった手法を駆使しながら、“赤ちゃんウケ”を狙おうとしている。

「視聴率の年代別調査は4歳以上が対象のため、民放の赤ちゃん番組は極めて異例です。『シナぷしゅ』には龍角散や七田式などのスポンサーがついていますが、局としては目先の利益は追っていないようです。それよりも、スマートフォンなどで子供が動画に触れる機会が増えている今、せっかくなら良質なコンテンツを提供したいという志から番組制作がスタートしました」(テレ東関係者)

 実際の視聴者の反応はどうなのだろうか。2歳の双子の男児と生後6カ月の男児の子育て中のライター・松庭直氏が子供たちと番組を見た感想についてこう語る。

「『シナぷしゅ』はテンポ良く場面が切り替わり、子供を飽きさせない工夫が凝らされていると思いました。ひとつのコーナーは2~3分程度でしょうか。ダンスがあり、歌があり、教育があり、とさまざまなコーナーが詰め込まれていると感じました。子供は特にリズミカルなものに食いついていて、猫や犬が音楽とともに上から下に落ちてくると、『また落ちてきた!』と言って喜んでいました。家族の一日の生活や童謡を早送りするシーンはかぶりつくように見ていました」

 もっとも、足りないと感じた点もあるという。

「テンポの良さを優先しているためだと思いますが、MCが不在で、子供が一呼吸つける瞬間がないのが残念です。番組終了後は子供が少し疲れた様子でした。MCを使ったり、スタジオセットを組むと予算がかかるのかもしれませんが、そこはテレ東らしく知恵を絞って欲しいところです。もうひとつ、番組のコンセプトは『我が子に安心して見せられる』とのことですが、正直、どこが『安心』なのか。親の立場からすると、もう少し丁寧な説明が欲しいと思いました」(松庭直氏)

 とはいっても、まだ本格的にレギュラー化前のお試し版。試行錯誤を重ねていけばいつか「いないいないばあっ!」とはテイストの違う良質な赤ちゃん番組に成長するかもしれない。