頭脳警察・PANTAさん 内田裕也さんとの最後のツーショット

頭脳警察・PANTAさん 内田裕也さんとの最後のツーショット

【私の秘蔵写真】

 今年で結成50周年を迎えた伝説的なロックバンド「頭脳警察」のボーカル&ギターのPANTAさん(69)。最近ではマーティン・スコセッシ監督の映画「沈黙」やアクション映画「下忍 赤い影」に出演するなど俳優としても活躍している。今年3月に亡くなった内田裕也さん(享年79)とも長い交流があった。

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 写真は昨年大晦日に銀座・博品館劇場で行われた恒例の「ニュー・イヤーズ・ワールド・ロック・フェスティバル」の時のスナップ。結局これが最後のツーショットになったね。なんとなく予感めいたものがあって後で悔やむのも嫌だなと思って、それまではずっとソロで参加していたけど、久しぶりに相棒のTOSHIと「頭脳警察」として出演したんです。

 裕也さんとの出会いは1960年代の終わりの頃。裕也さんとミッキー・カーチスさんが若いミュージシャンを支援するための「ロックンロール振興会」を作り、その第1回に頭脳警察が選ばれ、アンプを買ってやろうという話になって六本木の喫茶店に呼びだされたんだよね。

 頭脳警察は政治的メッセージ性の激しさもあってファーストアルバムがプレス前に発売中止、セカンドも発売してすぐに回収されるという過激バンドの代名詞だったから裕也さんが興味を持ってくれたのか、「なんてカッコいいバンド名なんだ。PANTAの音楽センスがいいよな」と後々までずいぶんかわいがってもらった。アンプの話はいつの間にか立ち消えになったけど(笑い)。 頭脳警察・PANTAさん 内田裕也さんとの最後のツーショット 1970年代、内田裕也(右)、遠藤賢司(中)と(PANTA自伝「歴史からとびだせ」から)

とにかく熱いひとだった

 今でこそロックは市民権を得て、星の数ほどのバンドが活動しているけど、その頃はフォークソング全盛期で、次にユーミン(松任谷由実)、井上陽水らのニューミュージックが台頭してくる時代。ロックはGS(グループサウンズ)から派生したバンドが多く、音楽業界的にはマイナーだった。

 今でも覚えているけど、71年ごろ、裕也さんに招集をかけられて数寄屋橋公園に行ったら、フラワー・トラベリン・バンドのジョー山中や石間秀樹ら有名無名問わずバンドの連中が何十人か集まっていて「チラシ配り」をやらされた。「ニュー・イヤー・ロック・フェスティバル」の宣伝なんだけど、みんな法被を着せられてね。もちろんオレは法被は拒否したけどね。頭脳警察が法被なんてカッコ悪いじゃない(笑い)。

 表参道の芸能事務所に主だったミュージシャンが集められ、「おまえたちはこれからの日本のロックの踏み石になれ!」と檄を飛ばされたこともある。とにかく熱い。