邦ロック史上最高のトリックスター、THE TIMERSの絶品『TIMERS』!

引用元:OKMusic

OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!』のアーカイブス。今回はTHE TIMERSが作り出した名盤『TIMERS』を紹介する。メンバー4人とも土木作業用ヘルメットを被り、手ぬぐいで鼻から下を覆った新左翼活動家のようなエキセントリック出で立ちで、徹頭徹尾、反体制のナンバーを演奏し続けたTHE TIMERS。スタジオ録音盤は『TIMERS』1作品しか発表していないし、活動期間は1988年、1994年、2005年の延べ3年間程度であったものの、今もなお、ロックファンの間で語り草となっている存在である。その唯一無二の代表作『TIMERS』とは、どんなアルバムであったのか?
※本稿は2015年に掲載

反権力の急先鋒

2015年9月、安保関連法案が成立した。この法律の是非をここで論じるつもりはさらさらないが、音楽的な側面から言うと、国会前での反対デモに参加していた学生たちがラップを…厳密に言うとラップの影響下にあるシュプレヒコールを挙げていたのが個人的には印象に残っている。

“サウンドデモ”とも連動する、その手法については、筆者はヒップホップに明るくないので詳しく語ることは避けるが、こうした反戦の思想、あるいは反権力の思想は、やはり音楽と結び付きやすいという点はかなり興味深かった。ベトナム戦争当時の反戦フォークがそうだし、歴代、反戦、反権力を表明してきたロックも多々ある。ジョン・レノンはその最右翼だろうし、イラク戦争に対する憤怒が表現されたGreen Dayのアルバム『American Idiot』辺りも鮮烈に記憶に残っている。

日本においては先週紹介したMONGOL800であったり、彼らのルーツとも言えるTHE BLUE HEARTSにもそうした楽曲があったりするが、反権力の急先鋒と言えば、国内ではやはり忌野清志郎の右に出る者はいないだろう。反核と原子力撤廃の姿勢を表明し、メーカーからの圧力で発売が中止となったRCサクセションのアルバム『COVERS』はその象徴である。

また、『COVERS』の翌年に発売された『TIMERS』は、さらにその反骨精神を先鋭化させた比類なき作品である。…おっと、この『TIMERS』はTHE TIMERSの作品であり、THE TIMERS はZERRY(Vo&Gu)なる人物が率いた覆面バンドなので、忌野清志郎とは無関係であった。ZERRYと清志郎とは、よく似ているので間違えた。失礼。