【報知映画賞】佐藤監督、8月死去の妻に捧ぐ国内映画賞初受賞「いずれ一緒に喜びを」

引用元:スポーツ報知
【報知映画賞】佐藤監督、8月死去の妻に捧ぐ国内映画賞初受賞「いずれ一緒に喜びを」

 第44回報知映画賞の表彰式が18日、都内で行われた。監督賞の佐藤信介監督(49)は、8月に亡くなった妻にささげる受賞になった。

 漫画家・原泰久氏の人気歴史コミックが原作の超大作「キングダム」で国内映画賞を初受賞した佐藤監督。壇上では大切に、大切に胸にしまっていた思いがあふれた。

 「今年最後にこの賞を頂けたことが本当にうれしい。数か月前に妻を亡くしまして、妻はずっとこの作品や自分の活躍を楽しみにしていた。妻と残された子どもたちとこの賞の喜びを分かち合いたい」

 今年8月、子宮がんのため妻が35歳で亡くなっていたことを告白。まだ結婚3年目で、6月に結婚記念日を迎えたばかりだった。がんが判明したのは1年前。既に「キングダム」に取りかかっていたが、作品を見るという妻の願いはかなわなかった。それだけに「天国がもしあるなら、いずれ僕が旅立った時、一緒に喜びをかみ締めたい」と声を詰まらせた。

 晴れの舞台には、主人公・信を演じた山崎賢人(25)が駆けつけた。来年だけで3本の主演作を控える超売れっ子は、多忙の合間を縫って登壇。「大好きな監督。これからも世界を熱く楽しませられるような作品を一緒に撮れたら幸せです」と祝福、熱い抱擁を交わした。

 山崎が「面白かったですよね」と挙げたのが、信が亡くなった漂とうり二つの政(吉沢亮1人2役)と初めて会うシーンだ。信が自らの頭をたたくという原作にないしぐさを加え「実際に会ったら夢だと思うだろうと、信介さんと話し合ってやった。信介さんは優しくて暴れさせてもらいました」と回顧。佐藤監督も山崎の演技を振り返り「やってくれたよねって感じでした」とたたえた。

 2人はNetflixのドラマ「今際の国のアリス」(来年配信)で再タッグを組む。「キングダム」の続編について、佐藤監督は「作れたらうれしい」。山崎も「絶対やりたい」と熱を込めた。(水野 佑紀)

 ◆佐藤 信介(さとう・しんすけ)1970年9月16日、広島県生まれ。49歳。94年、武蔵野美術大学在学中に短編映画「寮内厳粛」でぴあフィルムフェスティバルグランプリを受賞。2001年「LOVE SONG」で商業映画監督デビュー。代表作は「GANTZ」(11年)、「図書館戦争」(13年)、「アイアムアヒーロー」(16年)など。

報知新聞社