【レビュー】42年間の歴史にピリオド…『スカイウォーカーの夜明け』から見る“スター・ウォーズらしさ”

引用元:Movie Walker
【レビュー】42年間の歴史にピリオド…『スカイウォーカーの夜明け』から見る“スター・ウォーズらしさ”

日米同時公開に先駆け、ひと足先に、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(12月20日公開)を観る機会に恵まれた。長きに渡って「スター・ウォーズ」ファンであった自分が、本作を観るにあたって気になっていたのは、この作品固有の“スター・ウォーズらしさ”の表現のされ方だった。

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■ より輝きを増して動きだす、新3部作のメインキャラクターたち

4年前に『フォースの覚醒』(15)を初めて観た際に個人的に感心したのは、メインキャラクターのレイ、フィン、ポー、カイロ・レンら4人のキャラクター配置の見せ方だった。彼らは、旧3部作のメインキャラクターであるルーク、レイア、ハン・ソロ、ダース・ベイダーが持っている能力や性格、境遇や思考などをシャッフルして絶妙に配置し直すことで、スター・ウォーズらしさを体現するキャラクターとして描かれているように見えた。この作品世界において、見慣れた要素を持ちながらも、絶妙なシャッフルによって誕生したように感じられる彼らの存在からは、きちんとスター・ウォーズらしさを読み取ることができ、素直に作品を楽しめたように思う。

一方で、これまでの2作品における作劇では、ルーク、レイア、ハンたちとのつながりや継承が物語のメインとして描かれてきたためか、レイ、フィン、ポー3人のキャラクター感や仲間同士の交流、チームとしてのやり取りに関してはやや描き足りていない印象となっていたのも事実だ。だが、ルークやハンが退場し、レイアも一線を退いたような状態の本作においては、レイ、フィン、ポーの3人が行動を共にする流れがメインとなり、抑えられていた彼ららしい動きがより輝きを増していく。

砂漠でスピーダーに乗ってチェイスするシーンでは、『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(83)におけるタトゥイーンの砂漠での戦闘シーンとイメージが重なり、スター・デストロイヤーへの潜入シーンでは、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(77)でのデス・スターとの戦いを思い出す。しかし、それはイメージの断片が似ているだけで、例に挙げた実際のシーンとは描き方が大きく異なっていることから、若い3人が共に信頼し合い、チームとして行動する感覚こそが自分がかつて惹かれたスター・ウォーズらしさの一つなのではないかと気づかされる。

■ キャラクターの運命や多くの謎も回収し、“完結編”として納得のいく形に

最大の注目点である3部作通して描かれてきたキャラクターの運命、そしていくつもの謎もしっかりと回収しているストーリー展開に関しても、“完結編”として納得がいく形でまとめられている。だが、そのドラマ以上に、旧作のキャラクターたちの呪縛から解き放たれたレイ、フィン、ポー、カイロ・レンたちの個性がより輝き、そこからスター・ウォーズらしさを見いだすことができる終わり方をしてくれたことは本当に良かった。これまで「スター・ウォーズ」の各作で、その内容に一喜一憂してきたファンである自分としては、大きく広がったふろしきをきちんと畳み、キャラクターたちの運命を予想以上に満足のいく形で終わらせてくれた作品だったと大いに感じることができた。

そして、余談だが…「スター・ウォーズ」のメカ大好きファンとしては、Xウイングのほかにも、Aウイング、Bウイング、Yウイングと旧同盟軍の戦闘機をしっかり登場させてくれていて、その部分でも満足度の高い一本となっている。(Movie Walker・文/石井誠)