中村屋30年以上追うドキュメント番組が20日放送

引用元:日刊スポーツ
中村屋30年以上追うドキュメント番組が20日放送

歌舞伎の名門・中村屋を30年以上にわたり追い続けるフジテレビのドキュメンタリー「密着!中村屋ファミリー 涙と笑いの猛稽古2019 ~勘九郎&七之助大いなる挑戦 勘太郎8歳 覚悟のひとり立ち&長三郎6歳 初の女方~」が20日午後9時から放送される。

希代の名優だった父・勘三郎を2012年(平24)に57歳の若さで亡くしながらも、奮闘を続ける中村勘九郎(38)と七之助(36)の兄弟。さらに“小さな中村屋”の成長と挑戦を追っている。

今年の中村屋は、3月に勘九郎の長男・勘太郎(8)が中村屋から1人で歌舞伎座「盛綱陣屋」に出演して、父も子どもの頃に演じた小四郎役を熱演した。4月には次男・長三郎(6)が、国立劇場「雪傾城」で初めて女方に挑戦した。

そして8月には歌舞伎座・納涼歌舞伎「伽羅(めいぼく)先代萩」。七之助が“女方の最高峰”といわれる乳人(めのと)・政岡役に。そして政岡が守る幼い殿に長三郎、政岡の愛息には勘太郎が。その見せ場は、3人だけで1時間出ずっぱりで演じる名場面。中村屋にとっても歴史に残る大きな挑戦であるその稽古には、勘三郎の盟友だった人間国宝・坂東玉三郎(69)の姿があった。

そして、令和元年最大の挑戦となったのが、亡き勘三郎の夢だった「平成中村座」の九州開催。11月の「平成中村座」小倉城公演は客席と一体化し、平成中村座20年の歴史上で最高となる、熱気と興奮に包まれた舞台が繰り広げられた。

また、12月の新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」の皇女クシャナ役を七之助が演じるまでを追うほか、京都・南座「東海道四谷怪談」や、香川・四国こんぴら歌舞伎「高坏(たかつき)」など盛りだくさんだ。

勘九郎は「初めて中村座が九州に行く。あれほど喜んでいただけるとは、想像してなかったです。うれしい、やってよかったと思える貴重な公演になりました。今回は、歌舞伎を見慣れていないお客様が多いと思ったので、こっちで道具を転換してる間に、花道を使って…というようなこと。そして何より、通し狂言『小笠原騒動』はご当地もの。みなさんの集中力を途切れさせないように、というのは心がけました」と振り返っている。

3月の勘太郎の「盛綱陣屋」出演について、勘九郎は「あれは(片岡)仁左衛門のおじさまから、電話いただきまして『どうだ?』と言っていただいたんですけど、すごく悩みました。公演の出演者には、僕もいないし、七之助もいないし。でも、小四郎という役が、僕にとっても思い入れのある(91年~93年に演じた)幼い頃の憧れの役だったので。七之助も言ってましたけれども『伽羅先代萩”だって』あの3人(七之助・勘太郎・長三郎)で出来るっていうのは、子どもたちも大きくなっていくし、もうあの1回だけ。こんなチャンスはないということで。親の僕が言うのもなんですけど、1人で心細かったと思います。でも、やっぱり芝居が好きな気持ちは、大きいなと思いました。もちろん周りのみなさまが、サポートしてくださったのですけれど。そしてそういう気持ちを、僕たちも忘れちゃいけないと思いました」と話している。