天月-あまつき-「コルボッコロ」主題歌「アイビー」は世界を後押しする曲。歌い方指南も【インタビュー】

天月-あまつき-「コルボッコロ」主題歌「アイビー」は世界を後押しする曲。歌い方指南も【インタビュー】

11月29日より公開された劇場映画『コルボッコロ』。主題歌には天月-あまつき-(以下、天月)さんが本作のために書き下ろした「アイビー」が起用されています。
さらに同時上映の『サンタ・カンパニー』ではイケメン天使役を担当。音楽面でも演技面でも、その才能を発揮しています。

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本稿では試写会直後の天月さんを直撃し、主題歌の制作秘話やクリスマスにまつわるエピソードなどを伺いました。ファンには嬉しい「アイビー」歌い方指南も!

■世界が開いていくような曲にしたかった
――先ほど『コルボッコロ』の試写がありました。天月さんも完成した映像を見るのは初めてとうかがいました。

天月:はい。僕自身、曲と映像を同時に見るのは初めてで。ラストで「アイビー」が流れたときに「この曲を作ってよかったなあ」と思いました。

――曲調はバラードかと思いきや、サビにかけて疾走感が生まれる意外性があります。曲の構成は監督から要望があったのでしょうか?

天月:いくつかキーワードやイメージの楽曲をいただいた中で自分で「こういう構成にしよう」と決めて作りました。劇場で聴く曲だったので、サビにかけて世界が開けていくような構成にしたかったんです。

――Bメロには合唱パートもあり、世界の広がりが伝わってきました。

天月:世界観の後押しや、勢いづいていく感じを出したくて。演奏や合唱はバンドメンバーと集まってスタジオで録りました。

――歌詞の中には、「神様」や「空」など作品の世界観を思わせる言葉が散りばめられています。これは意識して入れようと思ったのでしょうか。

天月:曲を作る前に今回の劇場版のもととなった『コルボッコロ』のOVAを見させていただいたので、作品のテーマは最初からわかっていました。
そのうえで自分の中で決まっていたイメージを含めて書いてみたら、結果的にリンクしていて。「要所要所でリンクしてよかったなあ」と思います。

――「アイビー」を歌うとき、とくに心がけた部分はありますか?

天月:緩急のある曲だったので、Aメロで優しさを出そうと意識しました。
あとはサビで語尾を伸ばす部分があるので、そこは歌い切る力強さを出そうと。気持ちとしては、サビで力を使い切っちゃいますね。あ、実際には使い切らないようにしますよ(笑)。

――『コルボッコロ』を意識して、曲に盛り込もうと思ったテーマはありますか?

天月:信じる気持ちや誠実さを、曲にも入れたいと思いました。この作品は未来を自分で切り開いていく物語だと思うので。周りから何を言われても貫きたい思いがある。そんなテーマが伝わる曲を作ろうと思いました。

タイトルの「アイビー」は花の名前で、花言葉に「誠実」、「不滅」という意味もあるんです。この2点は曲を作るときにもすごく意識しましたね。

――歌詞の中で、とくに気に入っているフレーズを教えていただけますか?

天月:うーん……自分で読み上げるのは恥ずかしいですね(笑)。
僕は基本的に、曲はサビで言いたいことを言って、AメロBメロなどで肉付けをしていくものだと思っていて。

自分に秀でたものがなくとも、それでもこの気持ちは止められない。そこをサビで描きたかったので、サビ後半にかけての勢いは気に入っていますね。
たとえば「空が飛べなくたって 魔法が使えなくたって」は空想的なフレーズかもしれませんが、人間が前に進んでいく原動力となる気持ちは、ファンタジーでも現実でも変わりはありません。

――いつも歌詞はサビから作っているのでしょうか。

天月:曲によりますね。サビから作る曲もありますが、今回の「アイビー」はAメロ、サビ、Bメロの順に作っていきました。

■「アイビー」歌い方のコツは?
――「アイビー」を歌ってみたいファンに向けて、歌うときのコツを教えていただけますか?

天月:僕の曲って全部難しいんですよね(笑)。作っていても難しいと思うし。リズムはもちろん、キーも普通の男性が歌うには高いと思います。

「アイビー」に関しては、Aメロは静かな曲調なので、歌詞を音に乗せることを意識して、各フレーズをきれいに歌ってもらえたらと思います。
Bメロからは音もリズムも上がっていくので、勢いをつけて。でもまだサビが待っているので、やりすぎないようにするといいと思います。サビでフルスロットルをかけられるように、体力を残しておいてください。

――ありがとうございます! カラオケで歌うときに意識してみます。天月さん自身「歌ってみた」動画の投稿をされており、カバーも積極的にされていますね。どんな基準で曲を選んでいるのでしょうか?

天月:好きな曲ですね。ボカロもJPOPも大好きで、人気曲のランキングをずっと見ています。

――今後歌ってみたい曲はありますか?

天月:うーん。その時々で、「あ、この曲いいな」と思ったものをすぐ歌っちゃうので……。次にどんな曲を歌うかは、実はあまり考えていないです。

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■やりたい仕事は曲が思い浮かぶ
――最近は音楽に限らず、声優、朗読劇など幅広く活躍されています。ご自身の活動に肩書をつけるとしたらどんなものにしますか?

天月:「なんでもやりまーす」と言っているので、僕(笑)。でも世の中には“マルチタレント”と呼ばれる方が多いと思うのでそうなれるように頑張りたいですね。

――仕事内容を選ぶとき、軸にしていることはありますか?

天月:自分がやりたいかどうか、を大事にしています。
原作もので知っている作品であれば「ぜひやりたいです」と言うこともありましたし、『コルボッコロ』のように企画を聞かせていただいたうえで引き受けることもあります。

音楽の仕事では、お話を聞いたときに「こういう曲がやりたいなあ」と思えるかどうかは基準にしていますね。「これをやっている自分が思い浮かばない」と感じたら辞退することもあります。

――同時上映の『サンタ・カンパニー』では声優としても参加しています。イケメン天使を演じていますが……。

天月:そうらしいですね(笑)。

――アフレコで難しかったことはありましたか?

天月:アフレコのときは、キャラクターの絵も映像もまだない状態で。台本も当日渡されたのですが、
イケメン天使の役だと説明されて「……はい!」と(笑)。「企業CMのような感じにしたいのでわかりやすくいい声で説明してください」と言われました。
「どれくらいの声がいいですか?」と何パターンかやってみて、最終的にあの感じに。

――今後挑戦してみたい活動はありますか?

天月:音楽でいえば、もっと大きな会場でやりたいと思っています。
声優としてはまだまだ新人なので。昔から大好きなアニメやマンガにもっと関われたらいいなあ、とは日々考えています。
ただ、大きな目標ってあまり立てないタイプなので。むしろみなさんどんな目標があるんですかね?

――たとえば、声優さんだと「子どもの頃から好きだったこの作品に出たい!」などですね。

天月:じゃあ『ドラえもん』に出たいです(笑)。子どもの頃は僕ものび太君みたいな人間だったので。
ドラえもんに来てほしくて引き出しのある勉強机を買ってもらったり、押し入れに住んだりしていました。

――サンタさんには「ドラえもん欲しいです」とお願いすることも?

天月:それはさすがになかったです(笑)。サンタさんには新しいおもちゃとかを頼んでいましたね。

■サンタにお願いしたいものは?
――出演された『サンタ・カンパニー』にちなんで、クリスマスの思い出を聞かせてください。

天月:そうですね……。中学生のとき、クラスでクリスマス会をするときがあって。でもたまたまクラス内でケンカが起こって、それを見ていた僕のところにケンカで使っていた学生カバンが飛んできたんです。ちょうど底面の固い部分が頭に当たって。
そのまま病院に行って何針か縫って、帰ってきたらクリスマス会が終わっていました。

――切ない思い出になってしまいましたね……。最近は、一緒に活動している仲間たちとクリスマス会をすることもあるのでしょうか。

天月:いや、なかなかないですね(笑)。

――ところで『サンタ・カンパニー』では役割ごとにサンタ部、トナカイ部、プレゼント部など部署が分かれています。天月さんが入るならどの部署がいいですか?

天月:ええー! ……サンタ部、ですかね。空を飛べるのはいいですよね。

――『コルボッコロ』でも謎の生物・コルボッコロに乗って空を飛ぶシーンがありました。飛行手段はソリとコルボッコロ、どちらがいいですか?

天月:安定性を重視したいのでソリです(笑)。

――もし今年サンタさんにプレゼントをお願いするなら、何がほしいですか?

天月:どこまでお願いしていいんですかね、サンタって(笑)。なんでもありなら、「才能」がほしいです。

――今でもこんなに多彩なのに!

天月:いえいえ、全部才能がほしいですよ。僕はわりとネガティブなタイプなので、日々悩んでいますし。

――そうなんですね! 曲からは全然想像できなかったので……。

天月:でも、音楽ってそういうものだと思うんです。
一度でも落ち込んだことのある人が、そこからわきあがるような想いを乗せて楽しい曲を歌っていると、やっぱり感じるものがあるじゃないですか。

――最後にこれから「アイビー」を聴くファンのみなさんにメッセージをお願いします。

天月:僕としてもすごく気に入った曲になりました。『コルボッコロ』は『サンタ・カンパニー』と同時上映なので、いろんな楽しみ方ができると思います。
僕がこういうことを言うのもおこがましいかもしれませんが、両方の作品を必ずしも大好きにならなくてもいいと思うんです。片方だけでも、キャラでも、言葉でも、自分が気に入ったものを何かひとつ持って帰ってもらえたらいいな、と。

「アイビー」は『コルボッコロ』のために作った曲なので、ぜひ作品と併せて楽しんでもらえたらと思っています。

天月さんからのエールが詰まった「アイビー」。試写を見せもらった筆者は、イントロが流れた瞬間に鳥肌が立ちました。

ぜひクリスマスシーズンは『コルボッコロ』や『サンタ・カンパニー』とともに、劇場の音響で楽曲を堪能してはいかがでしょうか。

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