12.21「嵐」出演イベントも底冷え確実 新国立競技場が抱える“3つの欠陥”

12.21「嵐」出演イベントも底冷え確実 新国立競技場が抱える“3つの欠陥”

 東京五輪まであと7カ月。メインスタジアムとなる「国立競技場」の「竣工式」が15日、競技場内で行われた。気温約11度の中、ロングコートを着たり、ひざ掛けを使ったりする出席者が目立った。寒さ対策は大丈夫なのか。

 午前11時からの式典に出席した安倍首相は、挨拶と記念撮影を済ませると、「お時間の都合により」退席。よほど寒かったのか、滞在時間20分で富ケ谷の自宅にそそくさと帰宅した。

 午後からのメディア向けの「内覧会」に本紙(日刊ゲンダイ)記者も参加。最高気温12・5度にもかかわらず、場内に吹き込む風のせいでダウンジャケットを着ていても底冷えするほど。洗面所の水が温かく感じられるくらい、手がかじかんでしまった。

 日を追って寒くなるが、今月21日には人気アイドルグループ「嵐」や男子100メートル五輪メダリストのウサイン・ボルトらが出演する「オープニングイベント」が開催される予定だ。事業主体であるJSCの高橋武男総括役は「冷たい北風が観客席に向かって吹かないような構造になっている」と強調したが、別のスタッフは「冬場は寒いから、暖かい格好をして来てもらわないと」とあっけらかんとした様子。南国育ちのボルトが怒って帰らないか心配だ。

 国立を巡っては、五輪後も収益を上げるためにイベントやコンサートなどを実施する運営案が検討されてきた。しかし、冬場の風が吹きすさぶコンサート会場は殺人的。どれだけの観客が足を運ぶのかは不透明だ。

■配管むき出しの天井と鳥の糞まみれの“憩いの場”

 加えて、問題は寒さだけじゃない。観客席までのコンコースの天井に目を向けると、鉄筋や配管がむき出し。「ローコストでメンテナンスがしやすい」(高橋武男総括役)との理由だが、「自然との調和」をコンセプトにしている割には、場内外にふんだんに使われている木材との調和は取れていない。

 さらに、市民の憩いの場として造られたスタジアム5階の「空の杜」には、頭上の「大庇」に鳥よけの網が設置されていないせいで、鳥の糞が大量に落ちている箇所が散見された。もし鳥が巣を作ってしまったら、「空の杜」が「糞の杜」になること必至だ。

 寒さや設備の課題を残して「完成」したナショナルスタジアム。スポーツ庁の鈴木大地長官は竣工式終了後に400メートルトラックを完走して大ハシャギだった。国立が“負のレガシー”にまっしぐらになっていることなど、頭にないのか。