タロット占い師、ムンロ王子。派手なメイクに金髪のウィッグ。だけど、男。独特のキャラクターが世間をざわつかせている。なぜ、東大法学部を出てタロット占い師になったのか。なぜ、おネェキャラなのか。そこには幼少期からの深いエピソードが関わっている。「ムンロ王子」の人生に迫った。
―さて、ほとんどの人が疑問に思っていること、「なぜ東大法学部卒でおネェキャラのタロット占い師なのか」について自白してください
「なによ~刑事じゃないんだから…。悪いことしているみたいじゃない。そこに至るまでには長い人生があるんだけど、どこからいく?」
―まずはムンロ王子の子供時代
「ワタシね、男3人兄弟の真ん中なの。だいたい、兄弟でも姉妹でも真ん中は上下(うえした)から仲間はずれになって孤立するのよ」
―ウチも男5人兄弟だけど、真ん中は高校生まで不良でした。今は親父のあとを継いで零細企業の社長ですけど
「ワタシと同じじゃな~い。それで小学校のころは兄と弟がやらないことをやったのね。いつも女の子と遊んでいた…」
―え~っ!
「あとは母親にすり寄って気にいられるために勉強した。中高は海城なのよ。開成も合格確実って言われていたんだけど、受験当日のそれこそ試験開始寸前に母親にインスタントカイロを背中に入れられて、試験中に熱くなって…。変に動くとカンニングを疑われるし、熱いより、なんてことしてくれたんだ、って頭にきた方が強くて試験どころじゃなかった」
―それが落ちた理由の言い訳ではないことは東大入学が証明しています
「東大に行きたかったわけじゃないの。高校の途中までは早慶の推薦枠でいこうとしていたくらいだから…。でも政治家になりたかったので法学部に」
―タロット占いより、東大法学部に行こうとして行ったことの方がすごいと思いますけど
「だけど、東大はもっとすごい人たちがたくさんいた。ワタシ、630人くらいの学年で成績は200番に近い100番台の終わりの方。前半の3分1くらいには入っていたのね」
―それもすごい
「でも上の100人には逆立ちしても入れない。政治家も無理だし、官僚や役人はその人たちに任せた、って感じ」
―それで民間ですか? 就職したのはコンピューター会社ですよね
「マーケティングにも興味があったの。政治も実はマーケティングと関係なくはない。1票をどう取るかはマーケティングと同じ理屈。ヒトラーだって、卍のロゴとかメディアを大々的に使うところとか、すべてマーケティングにからんだものなんだから。そんなことがいろいろあって…マーケができそうな大手コンピューター会社に就職しました」
―サラリーマンは何年、やっていたんですか
「4年かな。いろいろあったけど」
―やめた理由は
「話すと長くなるわよ…」
―それは次の機会に
「簡単にいえばIT系の会社を起業したいと思ったから。最初は旅行の予約システムとかを販売してね。でもリーマンショックの煽りでどんどん大変になった。社員にも辞めてもらって…」
―最初はカフェの片隅でタロットをやっていたそうですね
「経費削減で社員を在宅にしてね。ある縁で事務所代わりにカフェの端っこを使わせてもらって、そこでタロット占いのプログラムを作っていた」
―ちょっと待ってください。いきなりそこでタロットですか
「サラリーマン時代にお坊ちゃま君がいて、その子の別荘に遊びにいったときにタロットには触れていたのね。占いには興味があったけど、当時はこれ重すぎる、と思って深くはいかなかった」
―暇な事務所代わりのカフェで…
「保険レディーとかくると、占いの話で盛り上がるのよ。星座占いとか血液型から始まって、タロットやって~になって勉強した。このまま続けたら占い師になっちゃう、嫌だぁとか思ってプログラムを作ろうと」
―結局、占い師になっています
「最初はデータのサンプリング収集の目的で始めたのね。そのあとにいろいろなドラマが起こるのよ~」
―長そうですね。簡潔にお願いします
「カフェでコーヒー1杯のおまけみたいな感じで占いを始めた。本気で勉強を始めるといろいろなことがわかってきて、それが当たると評判になって口コミで広がっていった。ただ、2000~3000人くらい占っていると、いろいろなグチも聞くでしょ。それが気になるというか夜中も目が覚めたりして、精神的に重くなってくる」
―なんとなくわかります
「それを捨てたいわけ。滝で流すといいよ、と知人に言われて富士山の雪解け水が流れる滝に3回打たれた」
―どうなるんですか
「いろいろなものが流れることがわかった。やったことある?」
―ありませんよ
「一度打たれてごらんなさい。最初は音が聞こえなくなる。次に目が見えない。溺れかかったような状態になって、何とか空気の気道を確保しようと必死にもがく。それが数分続くと、突然全身が軽くなる。目の前にキラキラと結晶のようなものが現れて…ね。そのときに何かを感じるの。感覚だけど」
―お告げってやつですか?
「それは山に登ったときね」
―山にも登っているんですか…
「4000人くらい占ったとき、滝に連れて行ってもらった人に七面山(山梨)に登るぞ、と言われて。ま、道程はいろいろあったけど最後のところで(占いは)4年待て、とお告げがあったの」
―………(無言)
「怪しいと思っているんでしょ?」
―はい
「お告げって表現するから怪しく感じるけど、感覚というか、そのときの現象をどう読みとるか、なのかな」
―4年待ってタロットを本格的に始めた
「それですぐにテレビや雑誌の仕事がきて、今回のオンライン鑑定でしょ。これからさらにパワーアップして…。やるわよおぉぉぉ」
―すみません、本題ともいえる「なぜおネェキャラなのか」にまだ、たどり着けないんですけど
「一気に説明するわね。テレビのお話があって、小さいとはいえIT企業の社長が占い師で出るのもおかしな話でしょ? テレビ局のメイクさんに変装をお願いしたらこうなった」
―メイクさんもいきなりこんなディープな感じにはしないですよね
「もともとメイクには興味があったのね。ほら、小学生のころ、女子と遊んでいたじゃない…。自分でいろいろ考えて練習していくうちに金髪にウィッグと、アップデートしていった(笑)。でもね、これは女装ではないのよ」
―女装にしか見えないのですが
「ムンロ王子は女装ではなく中性なの。男の記号を消して女の記号を付け足している。これが大切なのよ。ワタシの占いのお客さんは9割が女性で、そのうちの8割が恋愛の話。中には、男性に傷つけられた女性がくるケースも」
―でしょうね
「そんな人が目の前に男がいたら話したくない。男を感じないことで素直になれる。見た目が男よりもこっちの方が心を開いてくれるというか、本音をぶつけてきやすいのね」
―なるほど、単なるメディア受けがいい演出ではなく、ムンロ王子のおネェキャラには幼少期の環境とかお客さんへの思いやりとか、いろんなものが詰まっている。ちょっと感動しました
「あら、初めてほめられたわ。ワタシね、口紅をひいた瞬間に人格が変わるの。男から中性にね」
―たしかにスッピンの時の男のムンロさんと化粧しているときの中性のムンロさんではインタビューしていて別人のように感じる
「でしょ? ワタシが東大やプログラミングで学んだロジックが左脳の世界なのに対して、愛とか幸せとか生きるという精神は右脳の世界。普通の占いは悩みに対する結論と対策だけで原因の究明がない」
―つまり、「なぜそうなった?」がない
「その通り。ワタシは左脳の世界をとりあえず極めて、今度は右脳の世界に左脳のロジックで切り込んでいっているのね。論理的に原因をカードから探っていくの。今は世の中が便利になりすぎたおかげで、ロボット化している。右脳をまったく使えていないの。女性も左脳に支配されて男性化しているから少子化になるのは当たり前。女性を右脳に戻すのがワタシの使命だと思っているのよ」
―ムンロ王子のおネエキャラの秘密、実に深い話でした。このインタビューの意義もありました。それでは長い間、どうもありがとう…
「ちょっとちょっと! まだ2回残っているでしょ。次回は2020年はどんな年になる?ってテーマ。来年に向けてぜひ、年末にお読みください。それはそうと、このインタビューを読んだ方は、今すぐオンライン鑑定をやってちょうだいね」(次回12月23日(月)の第4回「2020年はどんな年になる?」に続く)
【プロフィル】ムンロ王子(むんろおうじ) 東京大学法学部卒。IT経営、シャンソン歌手もこなすパワータロット・カウンセラー。ある縁でタロットのプログラムを作り始めたところから魅力にはまり、カウンセリングが口コミで広まり評判に。188センチの長身、金髪にウィッグ、派手なメイクというおネエキャラで女性に大人気となり、10年間で1万人以上を鑑定している。sanspo.comで2019年の中央競馬「日本ダービー」を占い、「一番いいカード」として引いた単勝12番人気(93・1倍)の大穴ロジャーバローズが優勝して周囲を驚かせた。「anan」「女性セブン」などの女性誌に登場しているほか、フジテレビ、TBSなどにも出演多数。
東大法学部卒なのにおネェキャラのタロット占い師、ムンロ王子が語る「東大卒でなぜタロット占い師?」
引用元:サンケイスポーツ