周防正行監督「この映画が嘘になってしまう」新作主演・成田凌に“お願い”したこと

引用元:TOKYO FM+

脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMの番組「Dream HEART」。12月7日(土)の放送は、12月13日(金)より公開される映画「カツベン!」の監督・周防正行(すお・まさゆき)さんをゲストにお迎えしました。

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今回のタイトルにもなっている「カツベン」とは、「無声映画(サイレント映画)」時代に活躍した「活動弁士」の略。今から約100年前、“活動写真”とも呼ばれていた「無声映画」上映中に登場人物の声や物語の解説を担い、観客を映画の世界に誘う活動弁士が活躍しました。

◆「“芸の域”に高めてほしい」

茂木:「カツベン!」拝見しました。この世界が本当に素敵で愛おしくて、“ずっとここにいたい”と思うぐらい魅力的でした。

周防:ありがとうございます!

茂木:活動弁士を知らなくても、この映画を観ると全てわかるようになっていますね。

周防:はい。活動弁士は、日本映画の始めの一歩。当時のにぎやかな映画館の様子や時代の雰囲気がわかっていただけるかなと思います。

今回、活動弁士という職業に焦点を当てているのですが、活動弁士が活躍する世界を、まるで活動写真のように撮ってしまおうというのが、いつものスタイルとは違うと思います。映画の原点にあった面白さで、“みなさんに観ていただこう”という形でスタートしました。

茂木:主人公の活動弁士を演じている成田凌さんは、100人ぐらい集まったオーディションで選ばれたそうですね。

周防:毎日、若い役者さんと会い続けたんですね。僕が今の若い役者をあまり知らなくて。どんな人たちがいるのか、お会いして話をする良い機会だと思ったので。オーディションというよりも面接みたいな感じですね。いろんな役者さんと面接をして、最終的に成田さんに出ていただくことにしました。

茂木:成田さんの活動弁士役、ハマってらっしゃいましたね!

周防:そうですね。この映画で初めて、活動弁士の“喋り”を聞く人が多いと思います。“活動弁士の喋りってすごい!”“面白い!”と思っていただけないと、この映画が嘘になってしまう。成田さんには「活動弁士の語りを“芸の域”に高めてほしい」とお願いして、本当に一生懸命練習してもらいました。

茂木:ヒロイン役に抜擢されたのが黒島結菜さん。綺麗で独特の存在感がありますね。

周防:そうなんです。あんなに可愛くて綺麗なのに、オーディションのときに“私は本当にここにいていいのだろうか”みたいな、迷いを感じさせるような子だったんですね。女優という仕事に対して、まだ信じきれてないというか。若者らしい迷いを感じて。それがすごく、この映画のヒロインにぴったりだなぁと思って、彼女にしました。