元SMAPへの圧力契機に改善も…“新契約書”でも移籍トラブル必至の声

「新しい地図」の稲垣吾郎(46)、草彅剛(45)、香取慎吾(42)が、大晦日に放送される「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」(日本テレビ系)の年越しSPに出演するという。

 今年はこの“元SMAP”3人のテレビ出演に圧力をかけた疑いで、“市場の番人”公正取引委員会ジャニーズ事務所を注意したことが明らかになり、タレントの事務所移籍トラブルがクローズアップされた。その後、公正委がこうしたトラブルをなくすよう呼びかけたこともあり、大手芸能事務所で構成される業界団体「日本音楽事業者協会」(音事協)が契約書のひな型を改善する作業を進め、それが大詰めを迎えている。

 関係者によれば、従来は所属タレントが更新を希望しなくても、事務所の意向で一回に限り更新ができる条項があったといわれる。

 しかし新たな契約書のひな型では、同様の更新のケースではそのタレントの育成費用が回収できていない場合にほぼ限定されるという。

 またタレントが金銭補償を申し出て事務所と合意すれば、“移籍金”を事務所に払うことで契約を終了することができるなど、移籍時の選択肢も増えたといわれる。

■育成費用とはグレーなもの

 これらの説明を聞く限り、一見するとタレントが所属事務所から移籍するに際してハードルが下がったかに見えるが、現場の評判は総じてこの見方に対して否定的だ。理由は2つある。

 一つ目の理由は、音事協が新たなひな型で明示したとされる「育成費用が回収できていない場合」という条件が非常に曖昧なためだ。この問題は“公正な第三者”を両者の間に入れて「『ここからここまでが育成費用です』としっかりと線引きができなければ、タレントと所属事務所との間に必ずトラブルが発生するだろう」と関係者は断言する。それでも双方が納得するかは分からない。それほど育成費用とはグレーなものなのだ。

 二つ目は理由は、音事協がひな型改善の目玉と胸を張る「移籍金制度の導入」にしても、その移籍金がどのような根拠によって算出されたものなのか、それをめぐって双方の間でトラブルに発展するのが目に見えている。

 移籍金そのものの合理性と透明性が求められるというのである。

「公正取引委員会の周知により光が当たったタレントの移籍問題ですが、依然として話し合いは密室で進められていますし、内容も決してタレント本位の中身とはとてもいえないお粗末な代物といっていいでしょう」(芸能関係者)

 公正取引委員会の介入によって始まったタレントと所属事務所の関係の健全化の動きだが、“ポーズ”で終わらないことを祈るばかりだ。

(芸能ジャーナリスト・芋澤貞雄)